夏の日をつなぎとめて。。。
詩集を手に取り、パラパラとめくっていたら、なつかしい「詩」が出てきた。
長い間、詩集を開くことも無かったので、なぜか新鮮だった。
「夏の日」という文字に、少し感傷的な想いが生まれたのは、その後にやってくる言葉を、私の記憶が瞬間に予測していたから。
湖の夕暮れは、海のそれとは違う。
湖の畔で育った人なら、みんな知っている。
船
湖に洋燈を浮かべて夏の日を
つなぎとめたお前の心から
夢もなく滑つて行つたのは
つかの間の藻のいたづらだ
お前はうつろ眼に
青空を山々の形をうつし
溢れる思ひには身を任さなかつた
朽ちないまま 冷ややかに
急流を行く日ばかり
はかない願ひにかぞへてゐた
立原道造
たった一人、日が沈むまで琵琶湖を眺めていたのは、もう随分前のこと。
遠くの波を見ていると、すわっているテトラポットが揺れているようで、まるで自分が琵琶湖に浮かぶ1艘の小舟になったような、不思議な気持ちだった。。。
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