我が子羽ぐくめ 天の鶴群。。。
旅人の 宿りせむ野に霜降らば
我が子羽ぐくめ 天の鶴群
《伊夫岐神社の大椿》
いつだったか、母が目を細めて言っていたことがある。
「いくつになっても我が子はかわいい。その気持ちはちっとも変わらない。自分よりもうんと大きくなって、ずっとしっかりしていても、それでもかわいい。。。」
あの時の母の言葉に託された色とりどりの寂しさは、いま私の心の中であまりにも鮮明だ。
我が子とずっと共にいられることは、決して当たり前ではないのだと知った瞬間があった。
自分の大切なもの全てと引き換えに、我が子の命を願い祈った40日があった。
旅人の 宿りせむ野に霜降らば
我が子羽ぐくめ 天の鶴群
椿の実がはじけるように。
母の祈りは遠く、母の祈りは強く、母の祈りは終わりがない。
ただ幸あれと、ただ幸あれと。。。
◆追記
旅人の 宿りせむ野に霜降らば 我が子羽ぐくめ 天の鶴群
(訳:霜が降りる野に、旅をする我が子が眠る時、空ゆく鶴よ、どうかその羽であたためてやっておくれ)
天平5年、遣唐使の船が出るとき、ひとりの遣唐使の母親が、我が子の無事を祈って詠んだ歌です。
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