目に見えるもの、心にしか見えないもの〜明治36年 浜松で生まれたオルガンに。。。

白谷仁子

2019年09月12日 21:40



古くなった鞄と話したことはありますか?
動かなくなった古い時計と話したことはありますか?

誰も演奏しなくなった古い楽器の声を、聞こうとしたことがありますか?


《YAMAHA Organ Co.Hamamatsu 明治36年製 製造番号65187》



人は、うんとうんと昔から楽器をそばに置いて暮らして来た。
道具も、動物の皮も、植物までも楽器にして、長い長い間、人は楽器を友として歴史を刻んで来た。

楽器が人の手によって演奏されている時、人以上に生きているのではないかと思えたりる。
でも、それは逆に、人から忘れ去られたら、楽器は生きてはいられないということなのだ。





縁があって、115年も前のリードオルガンと一緒に歌うことになった。
目の前のアンティークなリードオルガンは、どんな人がどんな思いで作り、115年の歴史の中で、一体どんな人に演奏され、そしてどんなに愛されて来たのだろう。





このリードオルガンは、木村ピアノ工房さんで修理していただき、12月には彦根の城下町で美しい音色を響かせる。
私の倍生きている人生の先輩は、どんな歴史を音色に持っているのだろう。
その声を聴くことが、私には何よりも嬉しい。
そして、このオルガンを愛し弾いていた、名も知らない人との心の会話を、私はその時楽しもうと思う。


《修理をしてくださっている木村さん》



木村ピアノ工房の木村さんが製作したミニチュアのリードオルガン。
奥様のお母様が愛用されていた形見のタンスで作られたこのオルガンは、ちゃんと音も出る。





楽器は全てあたたかい。
喉が楽器である歌い手は、そのあたたかさを心で感じなくてはならないと思う。



◆YAMAHA Organ Co.Hamamatsu 明治36年製 製造番号65187について
このリードオルガンは、10年前、ピアニスト塚田佳男氏が、蔵元 藤居本家さんに寄贈されたものである。






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