コンサートから一週間。。。
コンサートから一週間が経った。。。
《こだわりのコンサートプログラム》
演奏の場は、その隅々が自己表現であって、イメージから企画、パートナーとのコミュニケーション、チラシ・プログラム、当日の張り紙まで、そこに集まる人たちと時間を共にすることだけに気持ちを集中させてきた。
プログラムへのこだわりもその中の一つ。
Photo:スタジオエコール
「失敗したくない」、「ドレスは何色?」、「ヘアスタイルはどうしよう・・」若い頃はそんなことばかり考えていた。
今はコンサート前後の数日間がイメージできているかいないかが何より大切で、それによってステージでのmotivationが決まるようになって来た。
・・・コンサート「パリ旅情」プログラムから・・・
フランスの音楽に憧れを抱き始めたのは、30年近く前のことでした。ポー ル・ヴェルレーヌの詩とガブリエル・フォーレの幻想的な歌曲の世界の虜に なった私は、様々な歌手によるフォーレの歌曲を聴きあさるうちに、自身で も歌いたいという強い思いを持つようになりました。日本語、イタリア語、 ドイツ語など、他国の言葉と音楽との融合は、まだ学生だった私の日常に億 のエッセンスを与えてくれましたが、大学を卒業してから取り組んだフラン ス歌曲は、別の意味で「自分の中に眠っていた音楽」を呼び覚ませてくれた のです。フランスをテーマにしたコンサートを企画する中で、憧れはますま す募り、その思いと麻友子さんのお誘いが、2020年2月、私をパリへと旅 立たせました。 パリの文化に憧れる人、パリの風景に魅了される人、日本でもたくさんの人 がそれぞれにパリという国を愛し続けています。今回のコンサートで選んだ 「パリ旅情」の詩人、深尾須磨子氏は、49歳の働き盛りに仕事で何度もパ リを訪れていました。その20年後、1957年69歳の時には、プライベート で1年間パリに暮らし、「パリ横丁」というエッセーと詩を書きました。2 年後に本が発行された直後、それを待っていたかのように8つの詩を選び、 歌曲「パリ旅情」を作曲したのが高田三郎です。時代は変わっても変わるこ とのない「人が何かを愛する気持ち」を、今日は「パリ旅情」を通し表現し たいと思っています。
、10年後に再びパリを訪れ、詩人と同じ年頃の私が早朝のセーヌ川辺りを ゆっくりと歩く姿が、私にははっきりと見えるのです。
麻友子さんと出会った頃、彼女はまだ学生さんで、真剣に音楽に向き合う健気で可憐な姿に惹かれたことをよくおぼえている。
それから何度か共演を重ね、パリで共演した時は、親子ほど年の違う私を見事にサポートし素晴らしいピアノで歌わせてくれた。
今回、プログラム後半のドビュッシー 版画「塔(パゴダ)」「グラナダの夕べ」「雨の庭」 は、その音の美しさについて、コンサート後たくさんのお客様から感動の声をいただいた。
「これからは好きに歌わせて欲しい!」
こんなトークに、会場は優しく笑いを乗せてくれた。
ある時から、既製品のような歌からはもう卒業したいと思った。
何が正しいのか、空の上の作曲家には聞けない。
残されたのは楽譜だけ。
そこから何を読み取ってどう表現するかで、演奏家の実力がわかる。
まだまだ勉強。
一生勉強。
きっとお空に昇っても勉強。。。
●お礼●
コンサート「パリ旅情」に足を運んでくださったお客様、立ち上げから終演までンサートのお手伝いをしてくださったスタッフのみなさま、文化産業交流会館のみなさま、コンサート前のウェルカム・コンサートで少ない人数ながら綺麗なハーモニーを披露してくれたラ・ルミエールのメンバー、そしてどんな時も白谷仁子を励まし勇気付けてくれる心の友達に、心から感謝いたします。
ありがとうございました。
●お知らせ●
次のリサイタルは2023年3月19日(日) ルッチプラザベルホールです!
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