Ma rendi pur contento
Della mia bella il core
E ti perdono,amore,
Se lieto il mio non è.
それでも、あの人の心を喜ばせてあげて下さい。
私の大切なあの人の心を
たとえ私が幸せでなくとも
愛の神よ、私はあなたを許せます。
Ma rendi pur contento〜BELLINI
撮影 スタジオ・エコール
イタリアのボローニャと日本の滋賀米原市の距離は9,544㎞。
電話ではほんの少しのタイムラグで、まるですぐ向かいに互いがいるように話をできる。
昨年の秋に決めたリサイタルから5ヶ月、じゅうぶんとは言えないが、パートナーと準備を重ねてきた。
訪れてくださるお客様と、音楽を共有できる時間を「忘れられない時間」にするために。
一部
イタリアの音楽は、それがたとえ悲しみを歌ったものであっても「幸せ」がある。
人が歌い、音楽を表現する喜びがどういうものなのか、学生の頃とは違った受け止め方ができるのは、長く歌ってきたご褒美かもしれない。
イタリア暮らしが長いカオリ(共演者の鈴木カオリさん)とは、長い長い付き合いだが、こうして共演したのは初めてだった。
私が生まれ育った地で、日本の歌曲を愛し歌い続けて来た時間、カオリはイタリアで学び、今は歌劇場でマエストロ・コッラボラトーレをするまでになった。
二部
もしも私が、望んでヨーロッパの地で必死に勉強していたら、今頃どんな風になっていただろう。
納得のできる歌い手になっていたか、それとも挫折してしただろうか、、、
開演の間際に、そんなことをふと考えた。
二部 椿姫「さようなら、過ぎ去った日よ」ヴェルディ
お互いに認め合っているからこそ、楽しめるコンサートだったし、必死で取り組めた。
初めての試みだった歌詞のテロップ投影。
照明の色や演出に何時間も時間をかけた。
チラシやプログラムも演出も、カオリや仲間といつもお客様のことを考えて、作り上げたコンサートだった。
アンコール「猫の二重唱」ロッシーニ
Gli affanni suoi pavento
Più degli affanni miei,
Perché Più vivo in lei
Di quel ch'io vivo in me.
私は自分の苦しみより、あなたの苦しみの方が心配だからです。
なぜなら、私はあなたの中に生き続けるからです。
自分のこと以上に あなたのことを。
一週間前の今日。
コンサートが始まった。