心の庭の花暦『涙』〜コンサート『あのころVol.4』

白谷仁子

2018年05月09日 20:09

止めどなく流れる涙は、
空を仰いで止めようとしても、
後から後から流れ出て、
こらえきれずにうつむけば、
それは透明な玉のように、
眼から、心から、
ほろりほろりと転がり落ちるのです・・・。






画家として有名である竹久夢二の詩集『夢のふるさと』におさめられている「涙」は、山田耕筰が竹久夢二の詩に、唯一曲をつけたものです。現在ほとんど歌われることはなく、私自身、竹久夢二の曲を集めたリサイタルの準備途中で知りました。互いにその才能を意識し合っていたであろう二人に、生前接点はなかったとの事です。「もだもだと・・・」「ほろり ほろりと・・・」。詩に吸い付くようになぞられた日本調のメロディーを歌う度、山田耕筰の詩に対する敬意の気持ちを感じ取ることができます。そして当時、竹久夢二の表紙絵や挿し絵が、金の星」「金の船」などを、一段と魅力ある童謡雑誌へと仕上げたことは否めません。



   涙
 竹久夢二 詩/山田耕筰 曲

もだもだと
むすぼれとけぬ
悲しみが
とけて流れて
なみだとなりて
ほろりほろりと
まろびなば
かうわびしうは
あるまいに



5月20日のコンサート『あのころVol.4』まで、プログラム曲を順にご紹介していきます。

今回、コンサートのタイトルにもなっている「山田耕筰と本居長世」。
本居長世は、たくさんの竹久夢二の詩に曲をつけており、それは実に夢二の世界を音で巧みに表現しています。

私は3度、竹久夢二の曲を集めた朗読リサイタルを開催していますが、本居長世の曲は外せません。
リサイタル『竹久夢二〜戀する歌』から9年。
また、新しい夢二を歌いたくなってきました。。。





《2014年 夢二の歌「涙」》
http://otohitosato.shiga-saku.net/e1068181.html



関連記事