田舎の自然。。。

白谷仁子

2019年08月29日 20:26


 人間はどんなに
 文明人になっても
 田舎の自然を
 わすれてはいけない。
 1920年9月20日 竹久夢二
   「お葉宛の手紙より」

 




8月も残り少なくなると、「ゆびきりげんまん」をしたように、シュウメイギク(秋明菊)がお庭に咲き始める。
真夏に青々とした葉をたゆませることなく茂らせて、真ん中の小さな蕾を守っている姿は、大切な人を守る大きな手にも見える。

夢二が絵のモデルにしていた女性「お葉」に当てた手紙の一文は、夢二が36歳の誕生日を迎えた4日後のもの。
その年1920年1月は、最愛の人「彦乃」を亡くした年だ。

キンポウゲ科のシュウメイギクは、とても強い。
儚く消えていった恋人を想いながら、自然の美しさと儚さと、そして強さを誰かに伝えたかったのだろうか。

人間は、良いことも悪いことも、都合よく忘れる器用さを持っている部分がある。
だけれどそんなことを、自然の生き様だったり、音楽だったりが、時に思い出させてくれるのかもしれない。

また、秋がやってくる。







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