
2017年08月29日
エッセイ「表現と 息を している」。。。
大阪で一人暮らしをしている時、エッセイをよく読んでいた。
厚さ1センチほどの単行本は、バッグの入れてもさほど気にならない。
大学までの地下鉄の車内で。
歯医者さんの待合で。
自分だけの時間は、活字の向こうの作者が話し相手となった。。。
いつからか、そんな本の読み方をしなくなった私が、久しぶりに一冊のエッセイを手に取った。
小木戸利光エッセイ集 「表現と息をしている」( 而立書房)

小木戸さんがヴォーカルをつとめる tokyo blue weepsのライブで3回、私はその歌声を聴いた。
透明感に満ちた声で語るように歌う「long valley」(アルバム incarnations)が好きで、娘と肩を並べ、自分の故郷への思いと重ねて聴いた日のことを、今でも時々思い出す。

3章「交差」の中で、「Lumtère」という文字が。
光・・・私の好きな言葉だ。
昨年、リサイタル「あのころ vol.3」のために結成したコーラスグループに様々なおもいを込めて名付けた「La lumtère」。
作品のなかの目に見えないところで、大きな輪をつくって響き合っていた。そんな光の風景を見た。《P.112 3章「交差」から》
「はい・・・私も見えたんです。。。」
そう心でうなずきながら、一枚一枚、ページをめくる「私」は、地下鉄のつり革につかまりながら単行本を読んでいた頃の「私」だった。

エッセイには、長崎の原爆をテーマにした小木戸さん主演のNHKドキュメンタリードラマ「あんとき、」(8月9日)についても書かれてあった。
読み終わって、誰かにこのエッセイを読んで欲しいと思った。
対話をするように。ゆっくりと。。。
2017年08月26日
秋海棠に会いに。。。
ここの山我が聴く方(かた)ゆ日照雨(そばえ)して
庫裏戸(くりど)に濡るる秋海棠の花
〜北原白秋〜
《秋海棠 花言葉「片恋」》

秋海棠に会いに行きましょう。
夜風が少し、冷たく感じてきたら。
秋海棠に会いに行きましょう。
食いしん坊の鹿たちが、一本残らず食べてしまう前に。

秋海棠に会いに行きましょう。
傘を一本忘れずに。
秋海棠に会いに行きましょう。
もう一つ、心に新たな教訓を持ち。。。
2017年08月19日
エンジョイ・ザ・バロック!コーラス練習Vol.3
車の窓を叩くように
視界を彩る黄浅緑(きのあさみどり)
目を奪われずにいられない
命の躍動をそこに見る
暦のうえでは「穂張り月」
夏の匂いはもうしない。。。

「エンジョイ・ザ・バロック」のコーラス練習も、今日で3度目を迎えました。
今日の発声練習は、「体の重心」について。
ほんの少しのアドバイスで、ホールの響きが変わるのは、コーラスのみなさんにとっても、私にとっても、とても嬉しいこと。
その喜びは次の「声」につながります。
パート練習は、ヘンデルの『ハレルヤコーラス』とバッハの『カンタータ』。
私は今日、アルトパートの練習に入りました。
エンジョイ・ザ・アルト!・・・エネルギッシュで明るくて、とにかくみんな元気です。
後半の1時間は『ハレルヤコーラス』を中心に、澤村先生のPianoでのびのびと歌いました。
ソプラノは、「ハレルヤコーラス」経験者もおられ、安心感があります。
男声パートは少ないながらも美声。
今日はテナーのみでしたが、経験者もおられるので、3つのパートが綺麗に重なり、心地良いハーモニーがホールに響きました。

譜読は読書と似ています。
見たまま(読んだまま)を感じとるだけでは、その内容は心にまで届きません。
歌っていく(読んでいく)うちにその音型(言葉や表現)が何を表現しようとしているのか、作者の心が少しずつ読み取れてきます。
きっと誰もが、音楽に限らず何かを共有することの楽しさを、今までに何度となく経験したはず。
そして今、私たちは一つのコンサートを作る為に繋がりはじめています。
作曲家と、作詞家と、仲間と、観客と・・・
音楽は、「共に作るもの」なのだという一声一声を心に刻みながら。。。

練習時間は、あっという間に過ぎていき、3度目の練習が終わりました。
「一日一生」、「一日一笑」、そして「一日一唱」。
次の練習を楽しみにしています。。。
コーラス練習 9月/10月の予定
《コーラス全体練習》
◆ 9月
9日 (土曜日)13:30〜15:30 スタジオ310
26日(火曜日)19:00〜21:00 ベルホール310
◆10月
21日(土曜日)13:30〜15:30 スタジオ310
31日(火曜日)19:00〜21:00 ベルホール310
《歌詞読み方レッスン》・・・参加は自由。人数に関わらず行います。
◆10月7日(土曜日)14:00〜16:00 2階 研修室
会場は全てルッチプラザ内です。
みなさんにお会い出来るのを楽しみにしています。
*発音表(原語読み方)の必要な方で、修正版を受け取っていない方は、練習前、事務局にお申し出下さい。
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視界を彩る黄浅緑(きのあさみどり)
目を奪われずにいられない
命の躍動をそこに見る
暦のうえでは「穂張り月」
夏の匂いはもうしない。。。

「エンジョイ・ザ・バロック」のコーラス練習も、今日で3度目を迎えました。
今日の発声練習は、「体の重心」について。
ほんの少しのアドバイスで、ホールの響きが変わるのは、コーラスのみなさんにとっても、私にとっても、とても嬉しいこと。
その喜びは次の「声」につながります。
パート練習は、ヘンデルの『ハレルヤコーラス』とバッハの『カンタータ』。
私は今日、アルトパートの練習に入りました。
エンジョイ・ザ・アルト!・・・エネルギッシュで明るくて、とにかくみんな元気です。
後半の1時間は『ハレルヤコーラス』を中心に、澤村先生のPianoでのびのびと歌いました。
ソプラノは、「ハレルヤコーラス」経験者もおられ、安心感があります。
男声パートは少ないながらも美声。
今日はテナーのみでしたが、経験者もおられるので、3つのパートが綺麗に重なり、心地良いハーモニーがホールに響きました。

譜読は読書と似ています。
見たまま(読んだまま)を感じとるだけでは、その内容は心にまで届きません。
歌っていく(読んでいく)うちにその音型(言葉や表現)が何を表現しようとしているのか、作者の心が少しずつ読み取れてきます。
きっと誰もが、音楽に限らず何かを共有することの楽しさを、今までに何度となく経験したはず。
そして今、私たちは一つのコンサートを作る為に繋がりはじめています。
作曲家と、作詞家と、仲間と、観客と・・・
音楽は、「共に作るもの」なのだという一声一声を心に刻みながら。。。

練習時間は、あっという間に過ぎていき、3度目の練習が終わりました。
「一日一生」、「一日一笑」、そして「一日一唱」。
次の練習を楽しみにしています。。。
コーラス練習 9月/10月の予定
《コーラス全体練習》
◆ 9月
9日 (土曜日)13:30〜15:30 スタジオ310
26日(火曜日)19:00〜21:00 ベルホール310
◆10月
21日(土曜日)13:30〜15:30 スタジオ310
31日(火曜日)19:00〜21:00 ベルホール310
《歌詞読み方レッスン》・・・参加は自由。人数に関わらず行います。
◆10月7日(土曜日)14:00〜16:00 2階 研修室
会場は全てルッチプラザ内です。
みなさんにお会い出来るのを楽しみにしています。
*発音表(原語読み方)の必要な方で、修正版を受け取っていない方は、練習前、事務局にお申し出下さい。
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2017年08月15日
灯りの向こう。。。
灯りの向こう何がある?
灯りの向こうに家がある。
灯りの向こうに何を聞く?
優しい声と笑い声。
灯りの向こうに何おもう?
灯りの向こうに夢ひとつ。

お数珠、お線香にろうそく、お花は前日買った可愛いスプレー菊。
今年はいつもより早く、ご先祖様に会いにいく事が出来た。
意味もわからず、ただ手を合わしていた小さいとき。
蝉の声と祖母の笑い声が、私の夏休みを目一杯大きくした。
一日一日の積み重ねは、人を大きく、そして小さく変えてゆく。
手を合わす時間が増えてゆくのは、悲しみの記憶が増えているから。
今年も・・・
戦没した方々が眠る墓標には、何度も何度もお水をかけた。
叶えられなかった夢の数は、夜空に輝く星よりも、ずっとずっと多かった。
あなたは知らない、私も知らない。
だけれど私たちは忘れてはいけない。
計り知れない数の・・・灯りの向こうの夢ひとつ・・・。。。
https://www.youtube.com/watch?v=BP_vBbg44NU
「死んだ男の残したものは」谷川俊太郎 詩/武満徹 曲
2017年08月10日
哭く、ひぐらし。。。
夏のひぐらしが、
レッスン室の玄関に迷い込んできた。
・・・というより、逃げ込むように飛び込んできた。
日も暮れた山河の景色を色づけるのは、
まばらに灯る街灯だけ。
広い外に逃がしてやろうと、
玄関へと導こうとすればするほど、
ひぐらしは、
翅をばたつかせ飛び回った。
間近で聞くその声は、
山奥の木々の中から聞こえるそれと違って、
痛いほどに「命」を感じた。
玄関のドアを開け放し、
『早く出てお行き』と声をかけ、
レッスン室に戻って仕事を続けた。
気付くといつの間にか、
ひぐらしの声は聞こえず、
開け放した玄関の中は小さな虫達でいっぱいになっていた。
そして私は、
山に帰ったひぐらしのことを、
眠る前に一度だけ思い出した。

朝、
レッスン室の扉を開けると、
もう動かなくなったひぐらしが、
玄関で出迎えてくれた。
昨夜、振り絞るように哭いていたひぐらしは、
最後の夜に会いにきてくれたのか・・・
美しきその姿に、
目も心も瞬間奪われた、
そんな朝だった。。
ひぐらし
日暮れ
ひぐらし
ひぐれに哭く
ひとひ(ひと日)空しく
むなしく暮れて
夕焼
わが掌を
かなしく染めぬ
日暮れ
ひぐらし
ひぐれに聞く
〜北山冬一郎〜(團伊玖磨 曲 歌曲集「わがうた」より) 続きを読む