
2016年10月28日
美しい食事。。。
食べること・・・
それはもしかしたら、
私が考えているよりも、
もっともっと崇高で、尊いことなのかもしれない。

午後に
さびしい足拍子を踏んで
山羊やぎは しづかに 草を 食べてゐる
あの緑の食物は 私らのそれにまして
どんなにか 美しい食事だらう!
私の飢ゑは しかし あれに
たどりつくことは出来ない
私の心は もつとさびしく ふるへてゐる
私のおかした あやまちと いつはりのために
おだやかな獣の瞳に うつつた
空の色を 見るがいい!
〈私には 何が ある?
〈私には 何が ある?
ああ さびしい足拍子を踏んで
山羊は しづかに 草を 食べてゐる
立原道造『優しき歌』より

食べる力さえ出ないときが、誰にもある。
そんな時は、食べ物にお返しをするといい。
土に触れて、ドロドロになって、葉っぱの匂いを胸一杯に吸って・・・
私達の口に入るまで、どれだけ長い旅をしなくてはいけないのかを、
食べ物たちにちゃんと聞いてあげるといい。
そして、うんと誉めてあげるといい。
美しいその姿を、うんと、うんと誉めてあげるといい。。。
それはもしかしたら、
私が考えているよりも、
もっともっと崇高で、尊いことなのかもしれない。

午後に
さびしい足拍子を踏んで
山羊やぎは しづかに 草を 食べてゐる
あの緑の食物は 私らのそれにまして
どんなにか 美しい食事だらう!
私の飢ゑは しかし あれに
たどりつくことは出来ない
私の心は もつとさびしく ふるへてゐる
私のおかした あやまちと いつはりのために
おだやかな獣の瞳に うつつた
空の色を 見るがいい!
〈私には 何が ある?
〈私には 何が ある?
ああ さびしい足拍子を踏んで
山羊は しづかに 草を 食べてゐる
立原道造『優しき歌』より

食べる力さえ出ないときが、誰にもある。
そんな時は、食べ物にお返しをするといい。
土に触れて、ドロドロになって、葉っぱの匂いを胸一杯に吸って・・・
私達の口に入るまで、どれだけ長い旅をしなくてはいけないのかを、
食べ物たちにちゃんと聞いてあげるといい。
そして、うんと誉めてあげるといい。
美しいその姿を、うんと、うんと誉めてあげるといい。。。
2016年10月25日
じっと見て下さい。。。
じっと見て下さい。。。
華やかな薔薇や優美なユリにのような、甘い香りは感じないけれど、
素朴なこのエケベリアの真ん中に、あなたは何が見えますか?
昨日の出来事?
ついさっきのmailの相手?
ずっと昔々の、幼い日の思い出?
しばらくの間、ただじっと見て下さい。
何か大事なものが見えてくるかもしれません。
《エケベリア 花言葉「風雅な人」》

私には、なんにも見えません。
ただ、このエケベリアの真ん中の、
ずっと奥の奥に、心に吹きかかる何かを感じます。
歌でもなく、言葉でもなく・・・
静かな、懐かしい香りの温かい吐息を、
心のずっと奥に感じ続けるのです。。。
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2016年10月24日
私の一日よ。。。
一日は短い。
その短い中に、誰もがいっぱいの自分を詰め込もうとする。
もうダメだと思いながらも、いっぱいの自分を詰め込もうとする。
だけれど、
自分の一生を大きな一日だとしたら、
そこにあるのは、心の中の、本当に大切なただ一つのもの。
綺麗なものを見せてあげたい。
美味しいものを食べさせてあげたい。
そっと抱きしめてあげたい。。。
裸の自分にとって、
それ以上に大切なものなどありはしない。
どんな時も
それさえ見失わなければ、
苦しさとか悲しみは
うんと減るはずだ。。。
私には、道造の詩が、いつもそう言っているように思える。

夕映えの中に
私はいま夕映えの中に立つて
あたらしい希望だけを持つて
おまえのまはりをめぐってゐる
不思議な とほい人生よ おまへの・・・・・
だかしかしそれはやがて近く
私らのうへに花咲くだらう と
私はいまは身をふるはせて
あちらの あちらの方を見てゐる
しづかだつた それゆゑ力なかつた
昨日の そして今日の 私の一日よ
心にもなく化粧する夕映えに飾られて
夜が火花を身のまはりに散らすとき
私は夢をわすれるだらう しかし
夢は私を抱くだらう
1938年 8〜9月
立原道造『優しき歌』と同時期の作品
その短い中に、誰もがいっぱいの自分を詰め込もうとする。
もうダメだと思いながらも、いっぱいの自分を詰め込もうとする。
だけれど、
自分の一生を大きな一日だとしたら、
そこにあるのは、心の中の、本当に大切なただ一つのもの。
綺麗なものを見せてあげたい。
美味しいものを食べさせてあげたい。
そっと抱きしめてあげたい。。。
裸の自分にとって、
それ以上に大切なものなどありはしない。
どんな時も
それさえ見失わなければ、
苦しさとか悲しみは
うんと減るはずだ。。。
私には、道造の詩が、いつもそう言っているように思える。

夕映えの中に
私はいま夕映えの中に立つて
あたらしい希望だけを持つて
おまえのまはりをめぐってゐる
不思議な とほい人生よ おまへの・・・・・
だかしかしそれはやがて近く
私らのうへに花咲くだらう と
私はいまは身をふるはせて
あちらの あちらの方を見てゐる
しづかだつた それゆゑ力なかつた
昨日の そして今日の 私の一日よ
心にもなく化粧する夕映えに飾られて
夜が火花を身のまはりに散らすとき
私は夢をわすれるだらう しかし
夢は私を抱くだらう
1938年 8〜9月
立原道造『優しき歌』と同時期の作品
2016年10月21日
立原道造の詩と私。。。
「私、恋しちゃいました!」
数年前、思春期の少女のように頬を染めた朗読教室の生徒さんの言葉に、私も思わず頬を染めた。
昭和十年代、今とは全く違った世の中で、これほど透明な言葉の世界を織りなした詩人に、今もなお、恋する人は絶えない。。。

JR山手線日暮里駅から5分。谷中墓地を通り抜けたところに、その詩人が眠る多宝院がある。

戒名「温恭院紫雲道範清信士」。
立原道造が亡くなって77年になる。

私が立原道造の詩に出会ったのは、声楽を学び始めて間もない頃。
歌を通してだった。
音楽のような言葉に、若かった私はとても惹かれた。
いつか、その詩を心から歌いたいと願う日が来たら、
きっと、形のあるコンサートにしようと思っていた。

墓前に、居心地良さそうに染井吉野の落葉が一枚。
軽井沢高原の植物をこよなく愛した立原道造は、今日も色とりどりの折り鶴と共に、東京の空から浅間山麓の大自然を見つめているのだろう。。。
数年前、思春期の少女のように頬を染めた朗読教室の生徒さんの言葉に、私も思わず頬を染めた。
昭和十年代、今とは全く違った世の中で、これほど透明な言葉の世界を織りなした詩人に、今もなお、恋する人は絶えない。。。

JR山手線日暮里駅から5分。谷中墓地を通り抜けたところに、その詩人が眠る多宝院がある。

戒名「温恭院紫雲道範清信士」。
立原道造が亡くなって77年になる。

私が立原道造の詩に出会ったのは、声楽を学び始めて間もない頃。
歌を通してだった。
音楽のような言葉に、若かった私はとても惹かれた。
いつか、その詩を心から歌いたいと願う日が来たら、
きっと、形のあるコンサートにしようと思っていた。

墓前に、居心地良さそうに染井吉野の落葉が一枚。
軽井沢高原の植物をこよなく愛した立原道造は、今日も色とりどりの折り鶴と共に、東京の空から浅間山麓の大自然を見つめているのだろう。。。
2016年10月18日
愛情の花。。。
誰が植えたか知らないけれど
畑の中の梨の木よ
わたしがここで話したことを
どうかどうか
ずっとおぼえていておくれ。。。
《梨 花言葉「愛情」》

人と人とを結ぶのは
言葉だけではないのだと
お花を育てて知った。
命の粒をそだてることは
自分自信をそだてることだと
お野菜を収穫して学んだ。
《ニンニク》

お野菜だって
綺麗なお花が側に居れば
どんどん大きくなるに違いない。
アメジストセージ
カルーナ
ガザニア
私は冬まで咲く花をお野菜のそばに植えた。
《アメジストセージ「炎の情熱」、カルーナ「連理の枝」、
ガザニア「あなたを誇りに思う」》

地面がお花でいっぱいになったら
梨の木は「負けていられない」と
愛情の花を木いっぱいに
きっと咲かせるだろう。
きっとさかせるだろう。。。
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2016年10月16日
命を呼ぶ日。。。
命を呼ぶ日は、忘れた頃にふとやって来る。
何かを知らしめるように、ふとやって来る。
《薊の密を吸う 星蜂雀(ホシホウジャク)》

早起きをした今朝は、夏からなかなか咲こうとしなかった裏庭の薊が気になって、居間の窓を開けた。
朝晩は冷え込むこの時期に、わざわざ窓を開けた甲斐があった。
星蜂雀(ホシホウジャク)が薊の密で朝食の真っ最中だった。
小鳥のような愛らしい姿を撮影する私のすぐ脇には、まれに見る妖艶な女郎蜘蛛。
金色の糸を張り巡らして、これまた朝食の準備をしていたようだ。
星蜂雀は忙しそうに羽を鳴らしながら、薊の周りを飛び回り、離れたかと思えばまた近寄り、すぐ側の住人を知ってか知らずか、夢中に薊の密を吸う。
私の家の裏庭で、こんなに小さいけれど、真面目に生きてる小さな生きもの達がいた。
手の指も、草履をひっかけただけの素足も、朝の冷たい空気にさらされてすっかり冷えてしまった。
慌てて部屋に戻ろうとしたけれど、この時期、お庭の主役になっている石蕗が、なぜだかとても気になった。
《石蕗 花言葉「絶えない笑顔」》

ここでもやっぱり、小さな命はあった。
生きようとしてる姿が、なぜだかとても嬉しかった。
朝日をあびた石蕗は、仲良しの大花虻のレストランになっていた。

当たり前のことだけど、当たり前でない。
自然の中で真面目に生きているあの子たちを発見する時、私は眼のずっと奥の奥を、お掃除してもらったような気持ちになる。
そんな時間を与えてもらえたことに、感謝でいっぱいになる。
私はそんな日を、こうよんでいる。
「命を呼ぶ日」と。。。
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何かを知らしめるように、ふとやって来る。
《薊の密を吸う 星蜂雀(ホシホウジャク)》

早起きをした今朝は、夏からなかなか咲こうとしなかった裏庭の薊が気になって、居間の窓を開けた。
朝晩は冷え込むこの時期に、わざわざ窓を開けた甲斐があった。
星蜂雀(ホシホウジャク)が薊の密で朝食の真っ最中だった。
小鳥のような愛らしい姿を撮影する私のすぐ脇には、まれに見る妖艶な女郎蜘蛛。
金色の糸を張り巡らして、これまた朝食の準備をしていたようだ。
星蜂雀は忙しそうに羽を鳴らしながら、薊の周りを飛び回り、離れたかと思えばまた近寄り、すぐ側の住人を知ってか知らずか、夢中に薊の密を吸う。
私の家の裏庭で、こんなに小さいけれど、真面目に生きてる小さな生きもの達がいた。
手の指も、草履をひっかけただけの素足も、朝の冷たい空気にさらされてすっかり冷えてしまった。
慌てて部屋に戻ろうとしたけれど、この時期、お庭の主役になっている石蕗が、なぜだかとても気になった。
《石蕗 花言葉「絶えない笑顔」》

ここでもやっぱり、小さな命はあった。
生きようとしてる姿が、なぜだかとても嬉しかった。
朝日をあびた石蕗は、仲良しの大花虻のレストランになっていた。

当たり前のことだけど、当たり前でない。
自然の中で真面目に生きているあの子たちを発見する時、私は眼のずっと奥の奥を、お掃除してもらったような気持ちになる。
そんな時間を与えてもらえたことに、感謝でいっぱいになる。
私はそんな日を、こうよんでいる。
「命を呼ぶ日」と。。。
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2016年10月15日
『SONNET〜ひとり芝居』 また昼に。。。
先のことなどいい・・
今この時が、自分の存在全てを実感できる。。。
そんな時間を、そんな一日を大切にしていますか。。。

Ⅶ また昼に
僕はもう はるかな青空やながされる浮雲のことを
うたはないだらう・・・・・・
昼の 白い光の中で
おまへは 僕のかたはらに立つてゐる
花でなく 小鳥でなく
かぎりない おまへの愛を
信じたなら それでよい
僕は おまへを 見つめるばかりだ
いつまでも さうして ほほゑんでゐるがいい
老いた老人や 夜 はるかな昔を どうして
うたふことがあらう おまへのために
さへぎるものもない 光の中で
おまへは 僕は 生きてゐる
ここがすべてだ!・・・・・僕らのせまい身のまはりに
立原道造『優しき歌』より
《ハナトラノオ 花言葉「あなたとの約束」》

緑の草に埋もれるように咲くハナトラノオに、変わりゆく季節をみた。
その白い小さな蕾は、周りの何処を見ても、他には見当たらなかった。
朝夕の冷たさに耐えられず、もしかしたら、丸い蕾は開くことなく、冬の地面に沈むかもしれない。
20センチにも満たない小さなハナトラノオに、私はしばらくの間、時を預けた。。。
今この時が、自分の存在全てを実感できる。。。
そんな時間を、そんな一日を大切にしていますか。。。

Ⅶ また昼に
僕はもう はるかな青空やながされる浮雲のことを
うたはないだらう・・・・・・
昼の 白い光の中で
おまへは 僕のかたはらに立つてゐる
花でなく 小鳥でなく
かぎりない おまへの愛を
信じたなら それでよい
僕は おまへを 見つめるばかりだ
いつまでも さうして ほほゑんでゐるがいい
老いた老人や 夜 はるかな昔を どうして
うたふことがあらう おまへのために
さへぎるものもない 光の中で
おまへは 僕は 生きてゐる
ここがすべてだ!・・・・・僕らのせまい身のまはりに
立原道造『優しき歌』より
《ハナトラノオ 花言葉「あなたとの約束」》

緑の草に埋もれるように咲くハナトラノオに、変わりゆく季節をみた。
その白い小さな蕾は、周りの何処を見ても、他には見当たらなかった。
朝夕の冷たさに耐えられず、もしかしたら、丸い蕾は開くことなく、冬の地面に沈むかもしれない。
20センチにも満たない小さなハナトラノオに、私はしばらくの間、時を預けた。。。
2016年10月12日
リーフレット写真。。。
「歌いたい」の優先順位は
「伝えたい」で決まる。。。。
「伝えたい」で決まる。。。。

時折ふと考える。
私は短い一生のうちに、いったいどれ位の歌を歌う事が出来るだろう・・・と。
小さいときから歌うことが大好きで、テレビから流れる歌は、数回聴けばたいてい歌えた。
声楽を学び、お客様の前で歌わせていただくようになっても、まだまだ勉強したいことが山ほどある。

11月27日(日)びわ湖ホールで開催する、コンサート「SONNET〜ひとり芝居」は、準備をはじめてからちょうど2年半になる。
そのスタートラインは、もっと前にさかのぼる。
「歌いたい」ことのイメージは、リーフレットやプログラムによって大きく膨らむ。
コンサートは、まさに「ものづくり」だ。
今日は来年のコンサートのリーフレット写真を撮影した。

空間を共有する人たちとの心の共有は、その度に、私の身体中の細胞を瑞々しくしてくれる。
ひとつひとつのコンサートは、全て次のステージに繫がっている。
「SONNET〜ひとり芝居」。
2年半のおもいが詰まったステージを、共に感じ、歌ってもらえるように。。。
「歌いたい」歌は、たくさんありすぎて、永遠に歌い続けても終わることはないだろう。
だから・・・
「歌いたい」の優先順位は、「伝えたい」で決まる。。。。
コンサートのリーフレットは、「伝えたい」気持ちを表す私からのお手紙。。。
続きを読む
2016年10月10日
『SONNET〜ひとり芝居』 もう一つの「朝に 」。。。
新しい朝がくれた空に、
歩いて行けそうな雲が広がる・・・
そんな光景を、
見たことがありますか?

Ⅵ 朝に
おまへの心が 明るい花の
ひとむれのやうに いつも
眼ざめた僕の心に はなしかける
《ひとときの朝の この済んだ空 青い空》
傷ついた 僕の心から
棘を抜いてくれたのは おまへの心の
あどけない ほほゑみだ そして
他愛もない おまえの心の おしゃべりだ
ああ 風が吹いてゐる 涼しい風だ
草や 木の葉や せせらぎが
こたへるやうに ざわめいてゐる
あたらしく すべては 生まれた!
露がこぼれて かわいて行くとき
小鳥が 蝶が 昼に高く舞ひあがる
立原道造『優しき歌』より

新しい朝がくれた空に、
歩いて行けそうな雲がひろがる・・・
そんな優しき光景を、
見せてくれた人がいますか?

歌いたくなる朝の空を、
共に肩を並べて見る人が、
そばにいますか?
歩いて行けそうな雲が広がる・・・
そんな光景を、
見たことがありますか?

Ⅵ 朝に
おまへの心が 明るい花の
ひとむれのやうに いつも
眼ざめた僕の心に はなしかける
《ひとときの朝の この済んだ空 青い空》
傷ついた 僕の心から
棘を抜いてくれたのは おまへの心の
あどけない ほほゑみだ そして
他愛もない おまえの心の おしゃべりだ
ああ 風が吹いてゐる 涼しい風だ
草や 木の葉や せせらぎが
こたへるやうに ざわめいてゐる
あたらしく すべては 生まれた!
露がこぼれて かわいて行くとき
小鳥が 蝶が 昼に高く舞ひあがる
立原道造『優しき歌』より

新しい朝がくれた空に、
歩いて行けそうな雲がひろがる・・・
そんな優しき光景を、
見せてくれた人がいますか?

歌いたくなる朝の空を、
共に肩を並べて見る人が、
そばにいますか?
2016年10月10日
秋のキチョウへ〜帰っておいで。。。
キチョウの色はレモン色。
秋のキチョウはミモザにとまる。

秋のキチョウはがんばり屋さん。
儚げな薄い翅で冬を越したご褒美は、ふわふわの黄色いミモザの花。
もしかして、お気に入りの枝に名前を書きにきたの?
それとも春咲くミモザの花の蜜を、今から楽しみに待っているの?
どんなに近づいても、秋のキチョウは飛ぼうとしない。
左手を差し伸べると、人なつっこく飛んできて、いつまでもいつまでもとまっている。
しばらくそのままじっとしていると、次第に左手は軽くなり、キチョウの儚げな薄い翅は、私の左手の翅となる・・・そして、私の心の翅となる。
やがて別の2頭のキチョウが舞うように、またミモザの枝にやって来ると、私の心の黄色い翅は、誘われるように飛び立つ。
冬を越えて、ここにまた帰っておいで。。。
小さな小さな白い命が、黄色く変わって育つまで、私のお庭は、あなた達をきっと守ってくれるから。
秋のキチョウはミモザにとまる。

秋のキチョウはがんばり屋さん。
儚げな薄い翅で冬を越したご褒美は、ふわふわの黄色いミモザの花。
もしかして、お気に入りの枝に名前を書きにきたの?
それとも春咲くミモザの花の蜜を、今から楽しみに待っているの?
どんなに近づいても、秋のキチョウは飛ぼうとしない。
左手を差し伸べると、人なつっこく飛んできて、いつまでもいつまでもとまっている。
しばらくそのままじっとしていると、次第に左手は軽くなり、キチョウの儚げな薄い翅は、私の左手の翅となる・・・そして、私の心の翅となる。
やがて別の2頭のキチョウが舞うように、またミモザの枝にやって来ると、私の心の黄色い翅は、誘われるように飛び立つ。
冬を越えて、ここにまた帰っておいで。。。
小さな小さな白い命が、黄色く変わって育つまで、私のお庭は、あなた達をきっと守ってくれるから。