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Posted by 滋賀咲くブログ at

2020年09月25日

身にしたがふは 心なりけり。。。




 数ならで 心に身をば まかせねど 身にしたがふは 心なりけり
             紫式部








秋には似合わない春色が、なんだかとても新鮮だった。
お砂糖菓子みたいな実のなる木が、「ムラサキシキブ」という名前だと知ってから、秋の楽しみが一つ増えた。

木の名前、花の名前をひとつずつ知るたびに、目の前の道が小さな枝のように伸びて行く。
それがずっと続くと、ふつうに信じていた。

雨の庭は肌寒い代わりに、美しい景色が隠れている。
秋の日、時間の流れに心は素直に添っていく。
   ・・・身にしたがふは 心なりけり・・・と。



  


Posted by 白谷仁子 at 22:03私。。。うた園芸

2020年09月18日

おかえりなさい。ルッチプラザ「スタインウェイ 」。。。


米原市民交流プラザが2001年にオープンしてから、ずっと地域に、そして全国の演奏家達に愛されてきたピアノ”スタインウェイ” が、オーバーホールから帰ってきた。




《Photo studio école》



10月17日のコンサートを前に、9月の初めからスタインウェイ の弾き込みが始まり、出演者の竹中直美さん、平居妙子さん、そして、エンジョイコンサートでコーラス伴奏やジュニアオーケストラとの共演をしてきた澤村優子さん、私の4人が、かわるがわるに毎日ピアノ庫に通っている。


《9月18日(金曜日)》




その都度情報を共有しながら、次の調律までに、私は報告書をまとめている。
今まで、数え切れないほど共演してきたスタインウェイ の鍵盤を、これほどじっくり弾いたのは、私にとって19年来初めてのことだ。
私の場合、何時間もスケールを延々と引き続け、鍵盤の様子や音色に耳をすませ、地味でありながら心を「無」に、ただ「音」とだけ向き合える贅沢な時間を過ごしている。


《ハンマーにうっすらと溝が・・・》



息を止めて、そっと覗いてハンマーを見ると、うっすらと細い溝が確認できる。
「あとひと月で、どこまで変わるのだろう・・・」
そんなことを思いながら、時間の経つのを忘れる。
美しく威厳のある立ち姿の前に座っていると、自然と背筋が伸びる。

洋琴・・・カタカナよりも、そんな呼び名が似合うような気がするのは、私だけだろうか。

コンサートまでひと月。
共に歌える日が、ただ楽しみでたまらない。。。




「たくさんのお申し込み、ありがとうございました。8月いっぱいで予定の座席数は完了しました。当日は出演者一同心を込めて演奏いたします。特別企画”ジュニアによるピアノ演奏”のご紹介は次のブログにて。どうぞお楽しみに。」

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Posted by 白谷仁子 at 21:33地域活動楽器

2020年09月14日

いつまでも いつまでも〜立原道造 鮎の歌「物語」



 僕には、たったひとつわからないことがある。
 時はなぜこのようにくりかえすのか。
 そしてなぜ僕にひきとめれずにすぐ死に絶え流のか。

         立原道造全集第三巻 物語
         鮎の歌「物語」からⅣ






9月になって、2つのコンサートに出かけた。
例年だと、週末は自分のコンサートやリハーサルが入っていて、月に2つのコンサートに出かけることは滅多とない私にとって、自分への良いプレゼントとなった。

6日、木之本スティックホールで開催された「Sous le Ciel de Paris」。
パリに留学されていたピアニスト 横田麻友子さんのお仲間と繰り広げるフランス音楽、日本の歌に、客席が始終引き込まれた。
プログラムも演奏も、流石だった。
コンサート中、4人のトークはパリのお話。。。
短い間だったが、2月にパリに滞在し、リサイタルを開催した私は、ほんのひと時、その空間を幸せな気持ちで共有した。

12日、びわ湖ホール大ホールで開催された「オペラ作曲家の横顔〜ロッシーニ〜」。
3月公演が中止となり、会場を小ホールから大ホールに変えての豪華なコンサートだった。
初期ロマン派のロッシーニのオペラはもちろんだが、宗教曲や合唱曲も大好きな私は心から楽しみにしていた。
お目当はもちろん第二部の「スターバト・マーテル」だった。
第一曲から十曲まで、時間を忘れて音楽と声とピアノを堪能した。





ホールの中にいると、音だけに集中できる。
演奏者である時も、聴衆者の時も、どちらでいても「自分」を鮮明に感じられる空間だ。

びわ湖ホールを後にしながら、耳に残る生きたハーモニーを感じながら思うことは一つだった。
練習を待つコーラスのメンバーを歌わせてあげること。。。

時は繰り返され、取り戻すことができない。
大切な時間は、大切に過ごすことで作られるものなのだということを、忘れてはいけない。





いつまでも いつまでも

いつまでも いつまでも
もしも 僕らが鳥だつたなら
空の高くを 飛んでゐよう
雲のあちらを あごがれながら

いつまでも いつまでも
木の枝にゐて うたつてゐよう
たつたひとつのしらべを
同じ聲で うたつてゐよう

身のまはりで すべてが死に
僕らのうたは 悲しみになる
そして 空は 限りなくとほい

あのあこがれは 夢だつた と
僕らの翼と咽喉は 誣ひるだらう
いつまでも そのあと いつまでも

鮎の歌「物語」からⅢ“いつまでも いつまでも”
       立原道造全集第三巻 物語







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Posted by 白谷仁子 at 11:44コーラス地域活動うた立原道造

2020年09月01日

September 。。。4つの最後の歌 (リヒャルト・シュトラウス)


2学期が始まった。

例年とは何かと異なる学校生活だけれど、
一歩、校庭に入ると、
気持ちはとてもシンプルに、
そして静かになる。

朝、車のエンジンをかけたら、
カーステレオからリヒャルト・シュトラウスの「9月」(September)のイントロが流れ出した。

入れっぱなしのCDはユリア・クライター (Julia Kleiter )。
まるで呼吸をするようなのソプラノの美しい歌声で1日が始まった。

ほんの些細な偶然だけれど、
私にとって最高の9月の始まりの朝となった。。。。






  September

Der Garten trauert,
kühl sinkt in die Blumen der Regen.
Der Sommer schauert
still seinem Ende entgegen.

Golden tropft Blatt um Blatt
nieder vom hohen Akazienbaum.
Sommer lächelt erstaunt und matt
In den sterbenden Gartentraum.

Lange noch bei den Rosen
bleibt er stehn, sehnt sich nach Ruh.
Langsam tut er
die müdgeword' nen Augen zu.


  9月

庭は喪に服し
雨が花々に冷たくしみ込む
夏は震える
静かにその終わりを待ちながら

金色の葉が次々と
高いアカシアの木から落ちる
夏は慌てて物憂げに微笑む
絶えてゆく庭の夢に

長い間薔薇の傍らに
夏はたたずみ、休息を望む
そしてゆっくりと
疲れきった目を閉じる
(詩:ヘルマン・ヘッセ)*訳詩はwikiより




「9月」は、リヒャルト・シュトラウスが84歳の時、1948年に作曲した『4つの最後の歌 』の第2曲目。
管弦楽の伴奏によるソプラノのための歌曲集で、1春 (Frühling )、2九月( September)、3眠りにつくとき( Beim Schlafengehen )、4夕映えの中で( Im Abendrot )からなっています。
ちなみに・・・私は「9月」のピアノ伴奏が大好きです。


  


Posted by 白谷仁子 at 14:29非常勤講師のお仕事世界の歌