
2015年04月29日
晩おそき日の夕べに
だれが?
いつ?
何のために?・・・
美しい瞬間の芸術は
いったいどうやって生まれるのだろう。。。

晩おそき日の夕べに
〜立原道造『萱草に寄す』
大きな大きなめぐりが用意されてゐるが
だれにもそれとは気づかれない
空にも 雲にも うつろふ花らにも
もう心はひかれ誘はれなくなつた
夕やみの淡い色に身を沈めても
それがこころよさとはもう言はない
啼いてすぎる小鳥の一日も
とほい物語と唄を教へるばかり
しるべもなくて来た道に
道のほとりに なにをならつて
私らは立ちつくすのであらう
私らの夢はどこにめぐるのであらう
ひそかに しかしいたいたしく
その日も あの日も賢いしづかさに?
《コデマリ 花言葉「品位」》

花も木も、空も湖も、そして月も鳥も・・・
共に過ごす人間というものを知り尽くしているのではないか・・・
と思うことがしばしばある。
だから、時に私たちに奇跡を見せてくれるのでは?・・・と。
選ばれた私たちは感謝をしなければいけない。
美しい瞬間の芸術は、詩を生み、音楽を生み、愛情を生む。
「私らの夢はどこにめぐるのであらう
ひそかに しかしいたいたしく」
そして、美しき言葉を生み出す。。。
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いつ?
何のために?・・・
美しい瞬間の芸術は
いったいどうやって生まれるのだろう。。。

晩おそき日の夕べに
〜立原道造『萱草に寄す』
大きな大きなめぐりが用意されてゐるが
だれにもそれとは気づかれない
空にも 雲にも うつろふ花らにも
もう心はひかれ誘はれなくなつた
夕やみの淡い色に身を沈めても
それがこころよさとはもう言はない
啼いてすぎる小鳥の一日も
とほい物語と唄を教へるばかり
しるべもなくて来た道に
道のほとりに なにをならつて
私らは立ちつくすのであらう
私らの夢はどこにめぐるのであらう
ひそかに しかしいたいたしく
その日も あの日も賢いしづかさに?
《コデマリ 花言葉「品位」》

花も木も、空も湖も、そして月も鳥も・・・
共に過ごす人間というものを知り尽くしているのではないか・・・
と思うことがしばしばある。
だから、時に私たちに奇跡を見せてくれるのでは?・・・と。
選ばれた私たちは感謝をしなければいけない。
美しい瞬間の芸術は、詩を生み、音楽を生み、愛情を生む。
「私らの夢はどこにめぐるのであらう
ひそかに しかしいたいたしく」
そして、美しき言葉を生み出す。。。
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2015年04月26日
母子草〜忘れてはいけないこと。。。
老いて尚 なつかしき名の 母子草 〜 高浜虚子
《母子草 花言葉「永遠の想い」「無言の愛」》

発表会が近くなると、生徒たちは驚くほどの頑張りをみせる。
週に一度のレッスン以外は、練習場は家であり、先生がいないぶん、親御さんは大変だ。
そう・・・生徒よりも先に、お母さんがくたびれてしまうことも度々ある。
でも大事なのは、お家の誰かがピアノが上手に弾けるとか、音楽をよくわかっているとか、そういうことではない。
子供にとって一番の力となるのは、「味方」だ。
「練習しなさい!」と、時に痛い言葉を投げかけられても、その人が、自分にとってどんな時も一番の味方だと信じていれば、子供は頑張れる。
たった1週間で見違えるほど弾けるようになった子供の後ろには、最強の見方の姿が映る。。。
この地球上で、ピアノを勉強している子供は、いったいどれ位いるだろう。
素晴らしい指導者と出会い、才能をもてあましている子もいれば、頑張っても頑張っても、左右のリズムがなかなか合わない子もいるだろう。
人前で演奏することに、いつまでたっても自信の持てない子もいっぱいいる。
そして、「続ける」ということが、どれほどの力になって、将来帰ってくるかは、「続ける」ことをやめなかった本人とその身近なものにしかわからない。
一緒にいて叱咤激励してくれる家族こそが、本当の「先生」なのかもしれないと、私は思う。
庭のあちこちに、控えめに芽を出している母子草を、
私はどうしても抜いてしまうことが出来ない。
けして派手ではない母子草を、「愛らしい」と思えるのは、その名前だろうか。。。
発表会まで1週間。。
「楽しかったね。。」と
母子(おやこ)で話せる日を迎えさせてあげる事が、私の役目。
幼稚園の頃から、私の所に通い続け、今では私の背をとっくに越している・・・
そんな生徒をみていると、私には忘れてはいけないとがあるのだと、
強く強く思えてくる。。。
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2015年04月17日
雨の庭にて。。。
雨のお庭もいいもんだ。。。
玉のような水たまりが、植物達の身体の上に乗っかっている。。。
やわらかい花びらのかしこい花達は、上手に水の玉をよけている。
「ああ...綺麗。」
いつのまにか種類の増えたラベンダーの花を眺めながら、雨のお庭も、悪くないなと思った。。
《ラベンダー 花言葉「あなたを待って」》

雨の日
八木重吉
雨が すきか
わたしはすきだ
うたを うたおう
「貧しき信徒」より
八木重吉
雨が すきか
わたしはすきだ
うたを うたおう
「貧しき信徒」より
水飴みたいな水たまりは、心の中をほんのり甘くしてくれる。
いつまでもいつまでも、
眺めていたいと思った。
《ギボウシ 花言葉「変わらぬ想い」》

突然パッとギボウシの葉がひらいたりするのではないかと・・・
真剣に思えてくるから不思議だ。。。
私も 雨がすきだ。
知らないうちに、歌を口ずさんでいた。。。
2015年04月16日
花曇りの午後。。。
「今日は花曇りだなぁ・・」
フロントガラスをのぞき込むように父が言った。
「花曇り?」
父の口から出た美しい言葉に、とっさに聞き返した。
「桜の季節には、よく空はこんな風になる。。ちょっと遅いけどな。」
父らしい言葉だ。。。
《ヤマブキ 花言葉「気品」》

久しぶりに父を車に乗せた。
父の退院以来、2ヶ月ぶりのこと。
実家からの帰りに、父を病院へ送ったのだ。
それは久しぶりに聞く、父らしい言葉だった。
ふと、入院中のリハビリで、どうしても「未来」の「来」という漢字が思い出せなかったと肩を落としていた父を思い出した。
80歳を越える病人に、「未来」という字を書かせた病院の職員さんに対し、心で微かな疑問を感じながら、その時の私は、ただ父をありきたりの言葉で励ますしかなかった。
小さいとき、わからないことは何でも父に聞いた。
見たことのない漢字
テレビのニュースから流れる、聞いた事のない言葉。。。
父はいつも丁寧に、小さな私を、けして子供扱いせずに教えてくれた。
病院の入り口の前に車を着けると、
父はしっかりとした足取りで、途中一度ふりかえり、私に大きな手のひらを広げて見せて、ゆっくりと病院に入っていった。
父の後ろ姿を見守りながら、ポロポロと涙がこぼれた。
ただただ嬉しくて、涙がこぼれた。
人は歳を重ねる毎に変わるというけれど、
ほんとうにそうだろうか。。
人は、時の流れだけで変わるものではない。
ちょっとした自然の移り変わりに眼をとめたり、
懐かしい歌に涙したり・・・
姿形が変わっても、その人の本質は、きっと、ずっと変わりはしないのではないか。。。
もうほとんど散ってしまった桜の木の下に咲く、ヤマブキを見ながら、
そんなことを思った花曇りの午後だった。
コンサート「日本の歌・心の歌」〜あのころ…
フロントガラスをのぞき込むように父が言った。
「花曇り?」
父の口から出た美しい言葉に、とっさに聞き返した。
「桜の季節には、よく空はこんな風になる。。ちょっと遅いけどな。」
父らしい言葉だ。。。
《ヤマブキ 花言葉「気品」》

久しぶりに父を車に乗せた。
父の退院以来、2ヶ月ぶりのこと。
実家からの帰りに、父を病院へ送ったのだ。
それは久しぶりに聞く、父らしい言葉だった。
ふと、入院中のリハビリで、どうしても「未来」の「来」という漢字が思い出せなかったと肩を落としていた父を思い出した。
80歳を越える病人に、「未来」という字を書かせた病院の職員さんに対し、心で微かな疑問を感じながら、その時の私は、ただ父をありきたりの言葉で励ますしかなかった。
小さいとき、わからないことは何でも父に聞いた。
見たことのない漢字
テレビのニュースから流れる、聞いた事のない言葉。。。
父はいつも丁寧に、小さな私を、けして子供扱いせずに教えてくれた。
病院の入り口の前に車を着けると、
父はしっかりとした足取りで、途中一度ふりかえり、私に大きな手のひらを広げて見せて、ゆっくりと病院に入っていった。
父の後ろ姿を見守りながら、ポロポロと涙がこぼれた。
ただただ嬉しくて、涙がこぼれた。
人は歳を重ねる毎に変わるというけれど、
ほんとうにそうだろうか。。
人は、時の流れだけで変わるものではない。
ちょっとした自然の移り変わりに眼をとめたり、
懐かしい歌に涙したり・・・
姿形が変わっても、その人の本質は、きっと、ずっと変わりはしないのではないか。。。
もうほとんど散ってしまった桜の木の下に咲く、ヤマブキを見ながら、
そんなことを思った花曇りの午後だった。
コンサート「日本の歌・心の歌」〜あのころ…
2015年04月13日
コンサート「日本の歌・心の歌」〜あのころ…
小さかったころ…
暗くなるまであそんだ広っぱ。
「もういいかい」「まぁだだよ」
空を見上げたら、叫んだ声が天まで届く気がした。
大きく息を吸い込んで、歌いたくなる口を小さな手のひらで慌ててふさいだ。
友達と歌いながら帰った田んぼのあぜ道は、あたたかい家の入口につながっていた。
あのころ・・・いつも歌があった。
遊ぶときも、笑うときも、叱られて泣いたときも。
おばあちゃんが歌ってくれた歌、
お母さんとうたった歌、
友達に教えてあげた歌・・・。
もう一度、思いだしてみませんか。
真っ白な心で歌った、
あのころの歌を・・・


6月6日(土) 、米原市の ルッチプラザ ベルホール310にて、14:30 (14:00 開場)から、日本の詩と歌シリーズ 歌いつなぐ「日本の歌・心の歌〜あのころ…」を開催します。
明治・大正・昭和の時代を繋いだ日本の歌、外国からやって来た歌の数々を、竹中直美さんのピアノとともにお送りします。
チケット及びお問合せ:ルッチプラザ 滋賀県米原市長岡1050番地1
Tel 0749-55-4550 Fax 0749-55-4556
音楽企画 湖音 ko-on
090-4300-9616(白谷)
2015年04月11日
山茶花の…。。。
山茶花のこぼれつぐなり夜も見ゆ 〜加藤楸邨
《山茶花(白)花言葉 「愛嬌」》

ずっと待っていた。
だから、山茶花は降りしきる雨など気にもしない。
大きく両手をひろげ、地上の全てに無言の喜びを伝えている。。。
季節はずれの山茶花は、愛嬌いっぱいの笑顔で行き交う人の足を止める。
「私を見て・・・」

お隣の蕾が、八重の花びらを開く頃、自分はそこにもういない。
地面に落ちた山茶花に、足を止める人など、どれくらいいるだろう。。。
「だから…」
と、山茶花は雨を飲み込むように花開く。
「今の私をもっと見て・・・」
《山茶花(ピンク) 花言葉「永遠の愛」》

花びらの玉の雫を見ていると、
濡れた髪など気にもならなくなった。
おなじように濡れていることが、
自然であるように思えた。。。
「山茶花のこぼれつぐなり夜も見ゆ」・・・
そうしてまた今夜も、
降りしきる雨に揺れる山茶花を、
ひとり思い出している。。。
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2015年04月08日
まるい鳥。。。
まるい鳥
をんなはまるい線をゑがいて
みどりのふえをならし、
をんなはまるい線をひいて
とりのはねをとばせる。
をんなはまるい線をふるはせて
あまいにがさをふりこぼす。
をんなは鳥だ、
をんなはまるい鳥だ。
だまつてゐながらも、
しじゆうなきごゑをにほはせる。
大手拓次〜藍色の蟇〜

私は鳥が好きだ。
子供の頃、一番最初に我が家の仲間になったのも
小さな小さなベニスズメ。。。
鳥は女性的だと思う。
子供心に、そう思ったのだ。
柔らかくも芯を持ち
手に取ると微かにジンワリと温かさを伝えてくる。
サッと離れるための翼は、
時にホッコリ膨らませて丸く、人の視線を惹きつける。。。

幸せな日には、その翼にもぐり込み、
ただただ何日も何日も眠る夢をみる。
幼子が母の胸で眠るように。。。
いつの頃からか、
鳥を見るたびに、私の心の記憶は
ひとつ、またひとつと温められるのだ。。。
2015年04月05日
ボトリオイデス、白いお姫様。。。
雨がつづくと、お庭の小さなお姫様たちのことが気になる。。
日曜日の今日、朝から傘をさして何度かお庭をおさんぽ。
ずっと雨に打たれ続けた小さなお姫様たちは、思ったより元気に、ほんの少しうつむき加減で小さな雫に花びらを揺らしていた。
晴れた日には見えないものが、雨の日に見えたりする。
私のお庭には、紫と白のお花が多い。
いつの頃からか、紫の小花や、白いお花が大好きになった。。。
紫のムスカリ、ラベンダー、ルピナス、そして新芽を出し始めたホワイトスターや梅花卯月、私が最も大切にしてるナツツバキ。。。
数日前、紫のムスカリの側に見つけた白いムスカリ「ボトリオイデス」。。。
一昨年いただいた球根が、今年もまた可愛い小さな花をつけた。
《白いムスカリ ボトリオイデス 花言葉「通じ合う心」》

ボトリオイデスは、ムスカリ・アルメニアカムの小型種で、ほとんど栽培されていない。
10年ほど前、図書館でみたガーデニングの本でボトリオイデスを知り、私は一目惚れした。
今でこそ、人気もののボトリオイデス。
当時はそんな簡単に手に入らなかった。
だから…
一昨年、球根をもらったときの感激はひとしおだった。
そして…
続けて咲かせるのは難しいと聞いていたのに、白いお姫様は今年も現れてくれた。
しかも、私の心配をよそに、この数日でお姫様は、雨に濡れながらたくさんの仲間を増やしていた。
花や木々が神からのメッセージを宿す物と考えられていた昔、花言葉は生まれたというけれど…
あまりにも心に寄り添うその言葉の意味を、
雨音を聞きながら噛みしめた一日だった。。。
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2015年04月01日
What are frail? 。。。
What are frail?
Spring blossoms and youth:
Spring blossoms and youth:

What are heavy? Sea-sand and sorrow:
What are brief ? To-day and to-morrow:
What are frail? Spring blossoms and youth:
What are deep? The ocean and truth.
〜Christina Rossetti (クリスティーナ・ロセッティ)〜
声楽をやるようになって、イギリスの女流詩人 クリスティーナ・ロセッティを知るようになった。
堀辰雄、金子みすゞ、西条八十・・・
私は彼らの生きた時代にとても憧れを持っている。。
重いものって?
海の砂と悲しみ。
短いものって?
今日と明日。
儚いものって?
春の花と若さ。
深いものは?
海と真実。
重いものも儚いものも、短いものも深いものも、
人はみんな持っている。
自然はもっとたくさんもっている。
私たちは自然の一部でしかないのだと、4月になると思い知らされる。
《ユキノシタ 花言葉「博愛」》

「What are frail?」
誰かにとつぜん聞かれたら、
やっぱりこう答えるだろう。。。
「Spring blossoms…」
そして少し悲しくなる。。。
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