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Posted by 滋賀咲くブログ at

2020年05月29日

不朽の精神。。。



午後、
ドライブに行きたいという義母を連れて、お空に近い方に向かってどんどん車を走らせた。
トンネルを2つ抜けたら、繋がっているはずの空気の味が全然違った。







自然が作る河・山の風景と、人が作る田んぼの風景との共演があまりにも綺麗で、車をとめてしばらくその風景を二人で眺めていた。
「空気がおいしいね。」
「だれも通らないね。。。」
何を言っていても笑顔になれた。


《サルトリイバラ 花言葉「不屈の精神」》



美しい棚田が広がる景色のうしろに、
サルトリイバラが薄緑の実をつけていた。
花言葉も私らしくポジティブで良い。

歌えない日が続くのは寂しい。。
だけれど、
グレゴリオ聖歌の時代から人類は歌ってきたんだ。
1500年も前から色んな時代を乗り越えて歌ってきたんだ。
もしもコロナが原因で、「コーラスが出来なくなる」「コンサートは難しい」というのなら、もっと前に人類は歌うことをやめていただろう。

地球全体が今、病と戦っているならば、私達細胞である人間は、治癒のために前向きに、そして賢く向き合うしかない。

いつもコーラスのメンバーや生徒に言っている言葉。
「歌を愛する人のもとを、歌はけして離れてはいかない。」のだ。

不朽の精神で時を待つこともまた、『音楽』に精通している。。。


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2020年05月24日

セントーレア(矢車菊)に想いを寄せる。。。



宿根草のセントーレア(矢車菊)を知ったのは20年以上も前のこと。
その頃、ドイツリートのお勉強が楽しくて、色々歌っていた。
特に好きだったのは、リヒャルト・シュトラウス (Richard Strauss 1864-1949) の歌曲「Kornblumen(矢車菊)」だった。

その花がどんな花かも知らず、ダーン (Felix Ludwig Julius Dahn,1834-1912) のとびきり美しい詩に惚れ込んでいたのだ。
お花図鑑でその花を見たときは、自分で育てようなどとは考えもしなかったが、それからずいぶん経ってから、セントーレア・モンタナという宿根の苗をお庭に植えた。


《セントーレア・モンタナ 花言葉「繊細な心」「信頼」》



花言葉の通り花弁は繊細で、大きな葉に守られるように咲く花は、気品に満ちている。
私が好きなのは、花が開く前の蕾。
高貴に満ちていて、何処と無くロココ調なムードを漂わせる。

リヒャルト・シュトラウスの歌曲「Kornblumen」の中でも、私が一番好きなのは詩の終わりの4行。


ーDir wird so wohl in ihrer Nähe,
als gingst du durch ein Saatgefilde,
durch das der Hauch des Abends wehe,
voll frommen Friedens und voll Milde.ー



慎ましく、美しく咲く矢車菊。
あの子達は決して手の届かない遠くではなく、そばにいる。
敬虔な平和と安らぎに満ちているそこには、夕風が吹き抜けているー

そんな光景を思い浮かべながら、私は矢車菊の色のドレスで歌った。
いつかまたステージで歌える時が来たら、歌って見たいと思った。
今年最初に蕾をつけた矢車菊 Kornblumenを見ながら、そう思った。


     Kornblumen

詩 ダーン (Felix Ludwig Julius Dahn,1834-1912) 
曲 シュトラウス,リヒャルト (Richard Strauss,1864-1949)


Kornblumen nenn ich die Gestalten,
die milden mit den blauen Augen,
die,anspruchslos in stillem Walten,
den Tau des Friedens,den sie saugen
aus ihren eigenen klaren Seelen,
mitteilen allem,dem sie nahen,
bewußtlos der Gefühlsjuwelen,
die sie von Himmelshand empfahn.
Dir wird so wohl in ihrer Nähe,
als gingst du durch ein Saatgefilde,
durch das der Hauch des Abends wehe,
voll frommen Friedens und voll Milde.

  


Posted by 白谷仁子 at 17:16コンサートお花世界の歌園芸楽器

2020年05月19日

フレンチラベンダーとサンドウィッチ。。。



毎日毎日小さなお客様が通ってくる。
私に気づいているのかいないのか、忙しそうに花から花へと渡り飛んでいる。。。

フレンチラベンダーには、サンドウィッチがよく似合う。。。




小さな苗ポットを2つ買ったのは、何年前のことだっただろう。
琵琶湖岸のお気に入りのお店で、お気に入りのサンドウィッチを食べて、それほど多くない店さきの苗ポットに目をとめた。

その頃ラベンダーに凝っていいた私は、イングリッシュラベンダーをお庭に何種類か植えていたが、一番気になっていたのはフレンチラベンダーだった。
薄いピンクと紫、買ってきた2つのポットを、しばらくは可愛い素焼きの鉢で育てていたが、4年前に野いばらの隣に地植えした。

3年間、小さな株は大きく育たなかったが、今年になって、紫の株は抱えられないくらい大きく育った。


《フレンチラベンダー 花言葉「私にこたえてください。」》



5月に入って、義父の病院通いのために何度か湖岸を通うことになった。
お店の前を通るたびに、フレンチラベンダーと、美味しかったサンドウィッチの味と香りを思い出す。

ーお花と美味しい食べ物ー

私の中でこの2つはいつもリンクしている。
毎日欠かさず飾られていた子供のころの食卓が、私の「食べ物」に対する基本だ。

誰と、どんなものを・・・という記憶の中に、テーブルに飾られたかすみ草や、お店の入り口に置かれたプランターの小花などが写真のように目にうつる。

もう、あのサンドウィッチは食べられないが、お庭のフレンチラベンダーの手入れをするたびに、沢山の幸せな記憶が蘇ってくる。
食べることは命を繋ぐこと。

スパークリングワインには薄オレンジのバラが合う。
そして、サンドウィッチには、紫のフレンチラベンダー。。。


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Posted by 白谷仁子 at 18:46ふるさとお花食べ物私。。。

2020年05月10日

小さな翼。。。



秋の紅葉は鮮やかで、
広げた小さな手のひらのすき間から、
ときおり差し込む光を顔に浴びるのが好きだった。

いつの頃からか、
可愛い翼果を付けた春の紅葉の虜になった。

その羽を見ていると、
どこへでも飛んで行けそうな気持ちになる。
大人気ないが、見るたびにそう思うのだ。


《モミジ 花言葉「遠慮」「自制」》



学校が休みになって、
子供たちはどうしているのだろう・・・
コーラスのメンバーさん達は元気にしているだろうか・・・
ふとした瞬間に頭をよぎる。

音楽教室のオンライン・レッスンは「通常と違う」という点で互いに楽しめるものではある。
画面越しからも生徒の緊張感は充分伝わって来る。

何より、
数十分の間だけでも様子がわかることに安心感をおぼえる。

子供達は健気だから、
今の異常事態を察して普段よりも頑張って練習をしてくれている。

それが、
生徒たちが私に示してくれている「愛情表現」なのだと、
痛いほど伝わって来て
切なく愛おしい。





春の紅葉は柔らかで、
広げた小さな手のひらの中に
小さな可愛い未来を抱えた翼が飛び立つ日を静かに待っている。

「もうすぐだ」と待っている。。。

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Posted by 白谷仁子 at 21:03音楽教室私。。。

2020年05月04日

やさしい心の持主。。。



本棚を整頓していたら、
懐かしい詩集が出てきた。

吉野弘。
大正15年生まれの詩人の言葉が、なぜにこれほど新鮮に心に響くのかと、繰り返し繰り返し読んだのは7年前のことだった。
虚しさや憤りが自分の心に向く時が、一番心にこたえる時なのだと知っている人は、どれくらいいるのだろう。

吉野弘の詩集を一冊読んでいくと、いつも不思議と心にリンクするものがある。

夕焼け。
きっと私以上に、今、この少し長い詩に、心救われる人はたくさんいるのではないだろうか。。。





  夕焼け

いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが坐った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は坐った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は坐った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可哀想に
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
唇をギュッと噛んで
身体をこわばらせて―ーー。
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持ちで
美しい夕焼けも見ないで。
  吉野 弘(吉野弘詩集・ハルキ文庫)

 

 

  


Posted by 白谷仁子 at 19:38私。。。