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Posted by 滋賀咲くブログ at

2020年10月31日

月の光に与へて。。。


月からもらった光は、
自分の中に貯金しておこう。

少し心が弱ったら、
その光を少しずつチャージするのだ。
いつも元気な私でいるために。。。


《2020.10.31 17:45 ブルームーン》




  月の光に与へて

おまへが 明るく てらしすぎた
水のやうな空に 僕の深い淵が
誘はれたとしても ながめたこの眼に
罪は あるのだ

信じてゐたひとから かへされた
あの つめたい くらい 言葉なら
古い泉の せせらぎをきくやうに
僕が きいてゐよう

やがて夜は明け おまへは消えるだらう
   あした すべてを わすれるだらう
            〜立原道造〜
       


ヴェルレーヌ、立原道造、
詩の中の月は、光をともなって心に寄り添っている。
そして月はいつも、音楽とリンクしている。





ハロウィンの10月31日に満月となるのは、1974年以来46年ぶり。
次回は38年後の2058年.
天国から見下ろすブルームーンは、どんなだろうか。。。





  


Posted by 白谷仁子 at 22:11日本の歌私。。。立原道造

2020年10月17日

リニュアル・ピアノコンサートを終えて。。。


10月17日。
スタインウェイ・リニューアルコンサートが終わりました。
オーバーホールからひと月。
今日はその音を披露することが出来ました。







ベートーベンのソナタ。
ショパンのノクターン、ポロネーズ。
ラフマニノフの前奏曲、ヴィカリーズ。。。

歴史が生んだ名曲たちは、消えることなく100年、200年、300年・・・と、生き続けます。
それは、頑なに守られてきたものがあるから。

伝えられてきたものを、また誰かが伝える。。
「守り続ける」美しさが、クラッシックにはあるのです。。



《竹中直美さん:ベートーヴェン ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」/ ラフマニノフ10の前奏曲 作品23-4 ニ長調 作品23-2 変ロ長調 》




《平居妙子さん: ベートーヴェンソナタ第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」/ ショパン ノクターン第8番 変ニ長調 作品 27-2、ポロネーズ第7番 変イ長調「幻想」作品61》




《白谷仁子:ラフマニノフ 14のロマンス 作品34-14「ヴォカリーズ」/ シューベルト 音楽に寄せて 作品88-4 D547》


        

《記念写真:ジュニアの皆さんと和やかに撮影会》




新しい音との出会い。
新しい人との出会い。
思いが重なって、素敵なコンサートを作ることが出来ました。。







3分に1のお客様の拍手は、満席のそれと変わらずあたたかかった。
スタインウェイがこれからも、たくさんの人たちに愛されますように。
私たちの住む町に、いつまでもいつまでも音楽が有り続けますように。

心からの感謝を込めて。。。


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2020年10月14日

リニューアル・ピアノコンサート〜ラフマニノフ。。。



  音楽は心で生まれ、心に届かなければ意味がない。

あまりにも知られた、セルゲイ・ラフマニノフの言葉。
「心に届く・・・」とは、どういうことなのか。
自分ではわかっていても、人に、ましてや小さな生徒たちに伝えることは難しい。

きっと、人がそれぞれ歩いてきた人生そのものが、音楽の生まれる地面の土となり、それを感じ受け止められるは、大きく育った木の枝葉なのだと思う。
私たちの暮らしに、音楽は欠かせない・・・というより、音楽がいつも自然に生活の中にあることが、「普通」なことなのだ。





スタインウェイ・リニューアルコンサート、第2部の後半は、ラフマニノフの10の前奏曲 作品23-4 ニ長調と作品23-2 変ロ長調(演奏:竹中直美)。
そして、14のロマンス 作品34-14「ヴォカリーズ」(演奏:白谷仁子)。

ラフマニノフは作曲家でもあり、ピアニストであった(指揮者でもあった)。
今回のコンサートで「ピアノがとても上手だった作曲家」を選びたかったのは、リニューアルコンサートの主役が「ピアノ」だったからだ。
作曲家とピアノのエピソードは色々とあるが、ラフマニノフは、スタインウェイの制作者本人と親交が深く、ずっとスタインウェイを使用していた。
そのこともあり、竹中さんにラフマニノフをお願いした。

そして、「ヴォカリーズ」 は、2008年、京都府立府民ホールアルティでの初リサイタルから12年ぶりの演奏となる。
ラフマニノフがソプラノ歌手に送った「言葉のない歌」は、印象主義→象徴主義が生んだ、「歌い手の永遠のテーマ」ではないだろうか。
楽器と違い「歌」は「言葉」に助けられるところがあまりにも大きい。それに甘えてしまう時もある。

世にたったひとつの自分の「声」で、心をどう表現するか・・・これは最初のラフマニノフの言葉にも通ずるのではないだろうか。。。





◆特別企画 ジュニアによるピアノ演奏部門に応募くださり、ありがとうございました。

大音陽花(長浜市立高時小学校5年)
*受け答え 作品19-2 変ニ長調 テオドル・レシェティツキ

野村美緒(長浜市立富永小学校6年)
*アラベスク 作品61 セシル・シャミナード

畑野愛侑(長浜市立余呉中学校1年)
*ソナタ 第6番作品10-2 第1楽章 ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

北村友結(長浜市立長浜南中学校2年)
*エチュード 第12番 ハ短調 作品25-12 フレデリック・ショパン
*エチュード第8番 へ長調 作品10-8 フレデリック・ショパン

長澤怜子(長浜市立西中学校2年)
*平均律クラヴィーア 第1巻 第6番 ニ短調 BWV851 ヨハン・セバスティアン・バッハ
*エチュード 第5番 変ト長調 作品10-5 フレデリック・ショパン

今川ひかり(米原市立伊吹山中学校3年)
*ノクターン 第2番 変ホ長調 作品9-2 フレデリック・ショパン

立松雪月(滋賀県立長浜北高等学校1年)
*ソナティナ 作品100 ニコライ・カプースチン

中村 心(滋賀県立彦根東高等学校2年)
*3つの演奏会用練習曲 第2曲 へ短調 「軽やかさ」 フランツ・リスト

(特別企画 ジュニアによるピアノ演奏は、第2部に引き続き行います。)
  


2020年10月12日

リニューアル・ピアノコンサート〜ショパン。。。

切り離された絵。
一枚はパリのルーブル美術館。
もう一枚はコペンハーゲンのオードルップゴー美術館。

十代の私にとって、ショパンとジョルジュサンドの恋は、遠い大人の世界の物語だった。
お小遣いで買った「音楽の手帳 ショパン」(青土社)を隅から隅までなんども読んでいるうちに、いつの間にかグラビアのドラクロアが描いたショパンが、「私のChopin」となった。。





《2020年 冬 パリ「ルーブル美術館」にて撮影》




早朝、食事も早々にホテルを出て、セーヌ川沿いを楽しみながら歩いた。
フランスパンを小脇に挟んだ紳士、朝の散歩を楽しむ老夫婦。
全てが景色に溶け込んでいた。
次第に早足になる私の心は、もちろんルーブル美術館の一枚の絵。




《早朝のセーヌ川》



今回のコンサート(17日 リニューアルコンサート)第2部の始まりは、ショパンの「ノクターン第8番変ニ長調 作品27-2」(演奏:平居妙子さん)。
この作品は1835年、ショパンが25歳の時の作品。
ショパンが両親とカルロヴィ・ヴァリ(カールスバード)で5年ぶりに再開し、3週間ほど共に過ごせた幸せな年だった。
21歳で祖国ポーランドを離れ、パリで暮らしたショパン。
祖国への強い思いが、今も世界中の人を魅了し続けるのではだろうか。







ショパンと「唯一無二の友情」と言われる画家ウジェーヌ・ドラクロワ。
肖像画の少ないドラクロアがショパンを描いたのは、ピアニスト・作曲家であるショパンなのか、それとも友人ショパンなのか、聞いてみたい気がする。







2部の第2曲目は、ノクターン第8番から10年後の35歳の時からとりかかり、翌年に完成させた「幻想ポロネーズ 変イ長調作品61」(演奏:平居妙子さん)。
そのころの体調や精神状態を知ると、「最後の大曲」と言われる名曲を生み出したエネルギーの根源は何なのかとても興味深く感じるのだ。


リニュアル・コンサートの日、10月17日は、ショパンが永遠の眠りについた日である。
後日の葬儀には、モーツァルトのレクイエムによるミサ、最後までそこに立ち会ったドラクロワがいた。

遠い遠い存在の作曲家の作品を愛し、その生き方に共感したり、涙したり・・・
再現者である私たちは、与えてもらうばかりでなく、作曲家に誠実さを持って感謝を返さなくてはならないとおもう。
それは楽器に対しても同じ。

ピアノとショパン。
魅了され続けて40年が過ぎた。
その言葉の響きは、今も心を熱くしてくれる。




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2020年10月09日

リニューアル・ピアノコンサート〜ベートーヴェン ソナタ。。。


『やぶや森の中の道を、そして岩の上を歩くことの出来る自分を、この上もなく仕合せに思います。私のように自然を愛するものはないでしょう。森よ、木よ、そして岩よ、人生が欲するもっとも大きな「こだま」を恵たまえ。しかし私のみじめな聞こえない耳も、ここでは少しも苦になりません。どの木も自分に向かって、”聖なるかな”と讃えているようです.....』
1809年 ベートーベンがマルファッティー夫人に宛てた手紙から(世界音楽全集7 ベートーベン2)





ルッチプラザ で開催の「リニューアル・ピアノコンサート」まで1週間度となりました。
連日の弾き込みも1ヶ月をすぎ、今週はピアノ庫からホールのステージに移動して、出演者のお二人と、音色や音量についてお話ししました。

今回のコンサート企画では、ベートーヴェン、ショパン、ラフマニノフにターゲットを当て、2人のピアニストさんに曲を選んで頂きました。

今年12月に生誕250年を迎えるベートベンは、33曲ものピアノソナタ(番号のついているもの)を作曲しました。このことは、ベートーベンが活躍した19世紀前半、ドイツ、フランス、イタリアなどで職人たちが競って新しいピアノを発表し、音域・音色・ペダルなど進化を遂げた時代であったことが背景の一つとしてあげられます。



《48歳、耳が聞こえなくなったベートーヴェンが、後期のソナタを作曲した際使用していたロンドンの製作者によるピアノ》
(世界音楽全集7 ベートーベン2)


ここで裏話ですが・・・
まだ記憶に新しい、音楽企画湖音が企画した3年連続コンサート「エンジョイ・シリーズ」。
第2回目の「古典派」の際に、私はオール・モーツァルトでプログラムを組みました。
「古典派といえば、ベートーベンでは?」
という声もありましたが、私自身、ベートーベンを「古典派」というくくりの中にとどめたくない思いがありました。

確かに、伝統や形式を維持した理念は古典的と言えるのですが、ベートーヴェンの心にあったロマン主義は、確実に19世紀の作曲家に受け継がれたと思えるのです。
私の中で「ロマン派の出発点」であるベートベンのピアノソナタを、今回のような形でコンサートプログラムに組み込めたことは、とても幸せなことです。



《初期のソナタを作曲していた頃住んでいたハイリゲンシュタットの家》


10月17日のリニューアル・ピアノコンサートの第1部は、ベートヴェン ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2「月光」第1楽章アダージョ・ソステヌート 第2楽章アレグレット 第3楽章プレスト・アジタート(演奏:竹中直美さん)と、ソナタ第8番 ハ短調 作品13「悲愴」第1楽章グラーヴェ・アレグロ・ディ・モルト・エ・コン・ブリオ 第2楽章アダージョ・カンタービレ 第3楽章ロンド・アレグロ(演奏:平居妙子さん)を演奏して頂きます。

第14番 は「月光」として知られるソナタですが、ベートーヴェン自身が「ファンタジア風ソナタ」と記している通り、ファンタジア(幻想曲)の趣きが濃い作品です。また、「月光」と同様、改良された68鍵盤のピアノを使用していた初期の傑作として知られる第8番 は、初期の傑作と言われるもので、第14番「月光」第23番「熱情」とならんで三大ピアノソナタと呼ばれています。

”聖なるかな”という作曲家の心を、お楽しみいただければ幸いです。

★次回は第2部 ショパンについてお伝えします★

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