
2018年11月29日
のどかな教育と愛嬌の花。。。
のどかなる 秋の路地に花ひらく
遠い記憶のわらべ歌
《寒椿 花言葉「愛嬌」》

教員免許を「更新」しなくてはならないなんて、大学生だった頃の私は、想像もしていなかっただろう。
「歌うことが大好き」というだけで親元を離れ大阪の大学に進み、教職課程の勉強をしているときも、「教育」について真剣に考えたことなど正直なかった。
「教員になる」という目標に向けて、一心に勉強していた仲の良いお友達を、心から「立派」だと思っていた。
大学を出て、中学校・小学校・高等学校の講師となり、沢山の学びを子供達からもらわなかったら、教員免許の更新は私にとって必要のないものだっただろう。
講習を受けた大学の歩道に、寒椿が見事に蕾をつけていた。
夏に訪れた時には何もなかったのに。。。
正直・・・心に残った講義は全部ではなかったけれど、自分的に学ぶこともあったし楽しめた。
何より、こんな綺麗な寒椿に会うこともできた。
講習が終わり、こんな言葉を私に送ってくれた人がいた。
頭に詰め込んだ色んな文字が、するするとほどけて一本の糸になった。
『教育には方法論なんてないのです。
必要なのは大人の責任感と愛情です。
今の教育は、責任回避(関わりたくない)と利己主義(自分の子さえよければ)と利権主義(教育でひと儲け)に毒されています。
もう一度、のどかな教育に戻してほしいです。
子供には自由に育つ権利があると思いませんか。
手を差し伸べてあげるのが教育、指導であって、大人や組織の思い通りの人間をつくるのが教育ではないでしょう。
勉強のできる子、運動の得意な子、絵の上手な子、歌が得意な子、料理が得意な子、工作が好きな子・・・。いろいろいていいと思いませんか。』
「工作が好きな子」の次に、もう一つ付け足そう。
「愛嬌のある子」
どんなに寒い日でも、真っ赤なほっぺでコロコロ笑う・・・寒椿のように。
これも立派な「才能」だから。
のどかな教育を願って。。。
2018年11月23日
「あなた」のために咲いたクリスマスローズ。。。
すっかり冬支度の夏椿の足元に
誰のために咲いたのか
季節外れのクリスマスローズが2輪
仲良く肩を並べて蕾を開こうとしている
どうせ
私の他に誰も気づきはしないだろう
だから
お前たちは私のために咲いたのだと
そう思っていいでしょう?・・・
おぼろげな記憶のメーリケ歌曲集
ヴォルフ (Hugo Wolf)の歌曲は私にとってハードルが高い。
でも、
聴いているのがお前たちだけならば
自信を持って歌える・・・

Auf eine Christblume II
(クリスマスローズに II)
Eduard Friedrich Mörike,
Im Winterboden schläft,ein Blumenkeim,
Der Schmetterling,der einst um Busch und Hügel
In Frühlingsnächten wiegt den samtnen Flügel;
Nie soll er kosten deinen Honigseim.
Wer aber weiß,ob nicht sein zarter Geist,
Wenn jede Zier des Sommers hingesunken,
Dereinst,von deinem leisen Dufte trunken,
Mir unsichtbar,dich blühende umkreist?
春に舞うビロードの蝶らは
冬に咲くクリスマスローズの甘い蜜を吸うことはない
だけれど
見えていないのは私たちだけで
甘い香りに誘われた蝶らの魂は
きっと羽を揺らしながら舞っているに違いない
《クリスマスローズ 花言葉「いたわり」》

私の大切な、忙しい人たちにクリスマスローズの花を送ります。
「あなた」のために咲いたクリスマスローズを・・・
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2018年11月15日
近江図書館クリスマスコンサート(同時開催「和紙ちぎり絵作品展」)のお知らせ。。。
街のおケーキ屋さんやレストラン、
玄関ドアのリース、
クリスマスツリーや可愛いオブジェが目につく頃になると、
知らない間にクリスマスソングを口ずさんでいる。
もうすぐクリスマス。
子供のように心が踊るのはなぜだろう。。
今年も近江図書館で、コーラスユウスゲとラ・ルミエールによるクリスマスコンサートを開催します。
今年の会場は近江図書館の第一展示室。
同時開催として、神戸を拠点とする『和紙ちぎり絵しゅんこう』の認定講師を22年間つとめてまいりました私の母、山田裕子の「和紙ちぎり絵」を展示いたします。
和展での入賞作品から小物まで、心温まる和紙の温もりを感じていただけたら幸いです。

プログラム
《コーラス ユウスゲ》
◆童謡メドレー 源田俊一郎 編曲
子鹿のバンビ/背くらべ/うみ/ 七つの子/森の小人/みかんの花咲く丘
◆あの素晴らしい愛をもう一度
北山修 詞/加藤和彦 曲
《ラ・ルミエール》
◆CAN YOU CELEBRATE?
小室哲哉 詞・曲
◆赤とんぼ 北原白秋 詞/山田耕筰 曲
◆待ちぼうけ 北原白秋 詞/山田耕筰 曲
◆青い眼の人形 野口雨情 詞/本居長世 曲
《特別演奏 白谷仁子》
◆ほうすけのひよこ~絵本物語
谷川俊太郎 作/林光 曲
《合同演奏》
◆翼をください 山上路夫 詞/村井邦彦 曲
◆アヴェ・ヴェルム・コルプス
W.A.モーツァルト
◆クリスマスソング・メドレー( 賛美歌)
もろびとこぞりて/荒野の果てに/きよしこの夜
指導・指揮・ソプラノ:白谷仁子
ピアノ伴奏:近藤しほり・澤村優子
●クリスマスコンサート●
2018年12月23日(日) 近江図書館第1展示室
午後2時開演(入場無料)
●同時開催●「山田裕子作品展‐和紙と歩んだ日々‐」
2018年12月19日(水)〜24日(月) 近江図書館第1展示室

今年、私から皆さんへプレゼントする「ほうすけのひよこ」は、谷川俊太郎さんの絵本に作曲家の林光さんが曲をつけたもので、歌とお話しで物語を語ってゆく、歌曲の中では珍しいものです。
本当に「正しい」ことって何だろう。
本当に「悲しい」ことって何だろう。
そんなことをしみじみ考えさせてくれる物語です。


2018年11月12日
オペラ『森は生きている』コーラス指導。。。
遠い国の一つの物語。
曲がついて、
演じる人がいて、
それを聴き楽しむ人がいる。。

今日は米原市立伊吹小学校で、オペラ『森は生きている』コーラス指導がありました。
伊吹小学校3年・4年生の生徒と、ボイストレーニンググループ・レスピラシオンが一つになって、音楽室での練習に励みました。
ロシアの児童文学作家サムイル・マルシャークの『森は生きている』は、日本でも絵本として数多く出版されました。
そして日本の作曲家、林光さんが、そのお話をオペラにしてから、さらに沢山の人々に知られるようになりました。
初めてオペラを観る人にもわかりやすく、楽しい音楽が詰まっているこの作品は、時間もコンパクトで、小さな子供も楽しめます。
今日の練習には、指揮者の大川修司先生とピアノの左成洋子先生がご指導くださいました。

「笑顔で歌って。」と大川先生に何度も声をかけられながら、子供達は一生懸命歌いました。
笑顔は心から出るもの。
コンサート本番まであと26日。
子供達・レスプラシオンの皆さんの歌声が少しづつ変わっていきますよ。。。
「歌って楽しいね。おもしろいね。」
そんな声が早く聞こえてくるといいですね。。。
オペラ『森は生きている』
12月8日(土)14時開演(13時30分開場)
[滋賀県立文化産業交流会館 小劇場]
料金: [前売] 一般1,000円 25歳以下500円
[当日] 一般1,200円 25歳以下600円
主催: 滋賀県立文化産業交流会館、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
助成: 文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、一般財団法人地域創造
後援: 米原市教育委員会
企画制作
滋賀県立文化産業交流会館、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
●お問合せ
文化産業交流会館 TEL 0749-52-5111 / FAX 0749-52-5119
2018年11月11日
活字に憧れた少女たちの夢〜米寿を迎えた恩師への想い。。
本が大好きな女の子もいただろう。
誰よりも早く走れる女の子もいただろう。
歌が得意な女の子もいただろう。
勉強が大好きな女の子もいただろう。
とびきり心の優しい子もいただろう。
夢を叶える選択肢さえ持つことを許されなかった少女たちの想いは、今を生きる人たちに託されている。。。
今日は、高校時代の恩師を囲んで小さなお祝い会をした。
きっかけは、私のリサイタルだった。
いつも私のステージに駆けつけてくれる同級生と相談し、今年米寿を迎える梅本皆代先生を囲んでのお食事会。
《長浜市「扇」》
会場は、先生が教師生活の最後の教え子さんのお店「扇」さん。
おいなりさんの美味しい上品なお店でした。
《色とりどりの一口いなりと家庭的なおかず》
1945年、昭和20年に日本は終戦を迎えた。
その頃先生は今の中学生と同じ年頃。
女性が勉強をしたいと大声で言えなかった当時のことを思い出し、先生はポツリとこんなことを口にした。
「あの頃は、とにかく活字に憧れてた・・・」
終戦を迎えた時、活字に憧れた少女たちはささやかな想いを抱きながら、小さな夢を叶えようと懸命に努力したのだろう。
つい先週末のピアノレッスンで、中学生で、とても頑張り屋さんの生徒とこんな会話があった。
「中間テストが終わったと思ったら、もう期末や・・・」
「まだ2週間あるよ。」
「えーっ、もう2週間しかないって〜・・・」
「知らないことを知る事が出来るって、いいやん。好きなときに本を開く事が出来るって、当たり前のことじゃないんよ。」
「うん。おおばぁちゃんに聞いたことある・・・」
何気ないレッスン前の会話が、今日の先生の言葉と重なって、胸が熱くなった。
《藤居悦子さん作のサンキャッチャー》
教え子一同からのプレゼントは、私もリサイタルの時プレゼントにもらった「サンキャッチャー」。
そのプリズムからは、不思議と元気をもらえる。
先生に、いつまでも元気でいて欲しいという願いと感謝を込めて・・・。
笑いとお話と、時々心を熱くしながら、大切な1日が終わった。
もし、私が先生と同じ時代に生まれていたら?
音楽も、活字も自由に出来なかった時代に生まれていたら?
生きることが精一杯の時代にうまれていたら?。。。
この気持ちを、いつまでも忘れずに歌い続けようと思った。
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2018年11月07日
あるひぼくはかみさまと〜キティークローザーの絵本。。
人の感じ方はイロイロ。
顔もイロイロ。
声もイロイロ。
イロイロなのに、ピタッと合う瞬間がある。
でもそれはほんの瞬間だから、次の日にはもうピタッとは来ない。
そして勝手にガッカリしたり、腹を立てたりする。
《あるひぼくはかみさまと(キティークローザー作/ふしみ みさを 訳)講談社》

司書をしている娘が、素敵な絵本を借りて来た。
文字はひらがなとカタカナだけ。
一見小さな子でも読めそうな本。
だけど、とっても奥が深い。
私はキティークローザーというベルギー(ブリュッセル)生まれの作家さんを、すっかり気に入ってしまった。
「あるひぼくはかみさまと」は淡々と流れる時間の中で、テオと神様のお話が進んでいく。
その奥に隠れている言葉の意味や心の動きのとらえ方は、人によってイロイロだろう。
キティークローザーの絵本は他に「こわがりのかえるぼうや」「ちいさな死神くん」も読んでみた。
かえるぼうやのお父さんの顔の表情にクスリとし、ちいさな死神くんの悲しみにもらい泣きし、私は日常と違う世界に暫し感情を眠らせた。
人の感じ方はイロイロ。
だから大勢で音楽を作るのは難しい。
声もイロイロ。
だから大勢で歌うのは楽しい。。。
イロイロは、良い時もあれば悪い時もある。
自分と違うたくさんのイロイロを楽しめるようになれば、心はいつも平和でいられる。絵本の中に眠る自分のように。
娘たちが生まれてから、記念日ごとに増え続けた絵本を、私は時々リビングに何気なく置く。
古ぼけた表紙に隠れている、中とじの糸の緩んだ1ページ1ページをめくると、決して色褪せない世界が手を広げるように待っていてくれる。
だから、
私には「絵本の対象年齢」はいらないのだ。。。
顔もイロイロ。
声もイロイロ。
イロイロなのに、ピタッと合う瞬間がある。
でもそれはほんの瞬間だから、次の日にはもうピタッとは来ない。
そして勝手にガッカリしたり、腹を立てたりする。
《あるひぼくはかみさまと(キティークローザー作/ふしみ みさを 訳)講談社》

司書をしている娘が、素敵な絵本を借りて来た。
文字はひらがなとカタカナだけ。
一見小さな子でも読めそうな本。
だけど、とっても奥が深い。
私はキティークローザーというベルギー(ブリュッセル)生まれの作家さんを、すっかり気に入ってしまった。
「あるひぼくはかみさまと」は淡々と流れる時間の中で、テオと神様のお話が進んでいく。
その奥に隠れている言葉の意味や心の動きのとらえ方は、人によってイロイロだろう。
キティークローザーの絵本は他に「こわがりのかえるぼうや」「ちいさな死神くん」も読んでみた。
かえるぼうやのお父さんの顔の表情にクスリとし、ちいさな死神くんの悲しみにもらい泣きし、私は日常と違う世界に暫し感情を眠らせた。
人の感じ方はイロイロ。
だから大勢で音楽を作るのは難しい。
声もイロイロ。
だから大勢で歌うのは楽しい。。。
イロイロは、良い時もあれば悪い時もある。
自分と違うたくさんのイロイロを楽しめるようになれば、心はいつも平和でいられる。絵本の中に眠る自分のように。
娘たちが生まれてから、記念日ごとに増え続けた絵本を、私は時々リビングに何気なく置く。
古ぼけた表紙に隠れている、中とじの糸の緩んだ1ページ1ページをめくると、決して色褪せない世界が手を広げるように待っていてくれる。
だから、
私には「絵本の対象年齢」はいらないのだ。。。