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Posted by 滋賀咲くブログ at

2022年09月15日

薔薇の花に心をこめて。。。




お花屋さんで見つけた薔薇は、
見たことのないサーモンピンクで、
多分、お店に入った時からそれ以外は見えていなかった。

ちっとも薔薇らしくないその子を、
たった1輪だけ買った私。

何年か経った今も、
ピアノの上の透明なフレームの中で咲き続けている。
大切な思い出の真ん中には、
いつも花があった。

自分で買ったはじめての薔薇は、
香りゆかしい音楽のような薔薇だった。。。





薔薇の花に心をこめて 
      詩 大木惇夫
      曲 山田耕筰

薔薇よ薔薇
薔薇の花ささげまつる
地の上に香りて浄く
いと美わしき花なれば
薔薇よ薔薇
大空の御光ありて
薔薇よ薔薇
薔薇の花ささげまつる。

  


Posted by 白谷仁子 at 21:19日本の歌お花私。。。うた

2022年08月29日

コンサート「パリ旅情」を終えて。。。

出会いと別れを繰り返すのが人生・・・
ずいぶん前に、そんな手記を読んだことがある。
その頃は、その新鮮なフレーズが心に響いた。

だけれど今は、そんなありきたりのフレーズには何の魅力すら感じない。
その重みは言葉にすると即座に軽い風船みたいになってしまう。

バイロンの”Truth is stranger than fiction.”(事実は小説より奇なり。)

あまりにも有名なこの言葉通り、真実は心にしかない。
言葉にすればするほど、真実は「嘘」にすり替わっていく。




Photo:スタジオエコール



詩を持つ歌は、そのことをよく知っている。
だから取り憑かれると離れられなくなる。
離れられずに、星の数ほどある人生の中で、ずっと出会いと別れを繰り返す。。。



  


Posted by 白谷仁子 at 22:11日本の歌

2022年06月29日

無になり 空になり。。。

  私の孤独は 透明体になり
     無になり 空になり 
       〜深尾須磨子「冬の森」から (パリ旅情)






まだ2年しか経っていないのか・・・と、2020年2月のパリの空を思い出すたびに感じる。
自宅に帰り着いた時、パリへ行っていたとは言えないような独特の空気に日本は包まれていた。
得体の知れない恐怖と、「パリが歌いおさめなんて、洒落ているよね。」なんて諦めに近い気持ちがザワザワと胸に押し寄せて、ちゃんと眠れない夜が続いた。
そんな中でも、いくつかのコンサートや歌の仕事が続けてこれたことが、今では奇跡のようにも思えるのだ。

PCR検査を受けていても、コンサートの後2週間は怖くてこわくて、神棚に祈る毎日だった。
「こんな時期に歌うなんて、コンサートなど非常識。」
「音楽などなくても、生きることに何も困らない。」
そんな言葉が耳に、目に入るたびに心の葛藤は膨らみ、涙した。
自分にとってではなく、人間にとって音楽というものがどういうものなのか、言葉にならない活字が頭の中をグルグルまわった。

でも、誰にも、何も言えなかった。
もしも自分が音楽をしていなかったら、同じことを言っていたかもしれないからだ。

「お父さんがね、今日も ”最高や、もういつ死んでもええわいー” なんて言うんよ。」
コンサートの直後、電話をする度、いつも母がこう言って笑っていた。
父は、自分が娘の歌を聴くのと同じくらい、その歌を聴いて笑顔で帰っていくお客さんの姿を見るのが好きだった。

音楽とは、歌とはどういうものなのか。
なぜ人は歌うのか。。。

言葉にならない活字は、父の横顔と共に私の心の中で少しずつ透明になっていくだろう。





◆お問い合わせ
090-4300-9616
koon.msk@gmail.com(白谷)


*******************************

6月24日、父が天寿を全ういたしました。
生前、コンサートの会場などではたくさんの方々に優しいお言葉をかけていただき、感謝申し上げます。
私に音楽の道を授けてくれた父、努力を惜しまないその生き方を最後まで示し続けてくれた父を誇りに、今まで以上に研鑽を積み、心の音楽をみなさまに届けていけるよう努力してまいります。
どうか、これからも声楽家 白谷仁子を見守っていただきますよう、よろしくおねがいいたします。

                                   白谷仁子
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2021年04月01日

楽器の声。。。



 ブーカ・・・ブーカ・・・
小学2年生まで、二階の私の部屋には足踏みオルガンがあった。
小学校に入るまで過ごしていた団地から持ってきたそのオルガンは、とても調子の良い楽器だった。

お引っ越しと同時に「自分だけの部屋」を与えてもらった私は、夕方になるとその足踏みオルガンを「ブーカ・・・ブーカ・・・」と弾いていた。
忙しそうに足を動かし、少しでも大きな音を出そうと必死に左右のペダルを踏んでいた。

クリスマスを間近に迎えた小学2年生の時、学校から戻ると母に促されて滅多に入らない応接間のドアを開けた。
目の前には真っ黒の大きなモノが”でん”と置かれ、ピカピカ光っていた。

「どう?クリスマスプレゼント!」
そう言って母は満面の笑みで黒いモノを指差した。
高校時代、病弱で音楽大学の進学を諦めた母にとっては、縦型のアップライトピアノは「夢の楽器」だった。

クリスマスに買ってもらうものを決めていた私は、よほどおもしろくない顔をしていたのか、母は「嬉しくない?」と夕飯の時も何度も聞いていた。
私が不機嫌になった最大の理由は、もう不要となった足踏みオルガンを、誰かにあげてしまうと母が言ったことだった。

自分の部屋にあって、いつでも弾ける足踏みオルガンと違い、わざわざ応接間まで行かないと弾けないピアノは、その頃どことなく遠い存在だった。
やがて、それがかけがえのない存在となることなど、知りもしなかった。


楽器というのは、鳴らしてあげると息を吹き返す。
楽器も持つ本当の声を聴いた時、私たちは何か大切なものをもらったような気持ちになる。。

今日は4月11日のコンサートに備え、リードオルガンの修理・メンテナンスをしてもらった。
不思議と子供の時に弾いていた足踏みオルガンのことが、よみがえってきた。。。


《YAMAHAリードオルガン》


《ふたば楽器(西條さん・加藤さん)》



Photo スタジオ・エコール




小学2年生の時、あまり嬉しくなかった「黒いモノ」は、今の私にとって同士のようなもの。
新しくグランドピアノを買った時も手放せず、今もレッスン室ではなく本宅に置いてある。
メトロノームを落として付けた傷も、弾きすぎてガクガクになってしまった鍵盤も、愛おしくて仕方がない。

「大事に使われていたオルガンですね。」
修理が終わって、加藤さんが言われた一言に心があたたかくなった。
このYAMAHAリードオルガンを大事に使っていた持ち主さんには、どんなストーリーがあったのだろう・・・と。







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2021年03月25日

リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”。。。


4月11日にコンサートを控え、リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”は日々練習を重ねています。
ちょうど1年前予定していたファーストコンサートを中止にしてからというもの、メンバーが集まっての練習はなかなか思うように進みませんでした。
それでも少しずつ、メンバーと連絡をとりあい、データで楽譜を送りながら自主練習をし、一人ひとりがアンサンブル練習にそなえてきました。

今日は、オルガン奏者の鈴木開さんとの初めての合わせであり、びわ湖ホール声楽アンサンブル指揮者 大川修司先生のレッスンの日でした。


《練習風景(彦根市城町 計画工房I.Tのギャラリーにて)》

Photo:スタジオエコール



初めの曲、fu-kinオリジナルの日本古謡『さくら さくら』は、メンバー澤村優子さんの編曲による三重唱で、オルガンの魅力があふれています。
彦根城下町の桜を感じつつ、大川先生のご指導で、少しずつfu-kinらしくまとまっていきました。

レオン・ボエルマンの『アヴェ・マリア』と『汝、御母なることを示したまえ』は二部合唱ですが、「聴き合う」ことの難しさを改めて感じずにいられません。
鈴木さんのオルガンはとても心地よく、「オルガンの息」と「人の息」のハーモニーを堪能しました。


《オルガン:特別ゲスト鈴木開さん ソプラノ:神澤知香 白谷仁子 澤村優子》


《アルト:原田泰彦 竹中直美 石田和美》




歌えることの幸せは、最も「生きている」ことを実感させてくれます。

「人類はなぜ言葉を持ち、歌うことをはじめたのか。。。」
仲間と声を合わせている時、ふと、そのテーマにいきあたります。

リードオルガンアンサンブルfu-kinは、まだ吹き始めたばかりの春のそよ風です。
これから訪れるたくさんの出会いの中で、季節を包み込むあたたかい風へと育っていけますように。。。




大川修司先生。
ご多忙な中、ご指導ありがとうございました。


◆リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”コンサート◆
〜四月の風。今、芽吹くとき〜

4月11日(日)14:00開演(13:30開場)
彦根市城町の「イノベーションオフィス納屋七」
チケット 2500円
お問い合わせ 090-4300-9616(音楽企画湖音 白谷)




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2021年02月08日

リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”ファーストコンサート♫


リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”ファーストコンサートのお知らせです。









令和元年の暮れに「本町宿」で初のリードオルガン・コンサートを開催してから一年半。その時の出演者を中心に昨年の春、私たちは「リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”」を結成しました。

縁あって彦根まちなかに運び込まれた1903年(明治36年)製造のYAMAHAオルガン。音楽をとおしたまちづくりを目指し、これから「イノベーションオフィス納屋七」で定期的なリードオルガン・コンサートを企画・開催していきます。

今回のプログラムは、バッハのコラールはじめ、4月に相応しく日本古謡の「さくらさくら」(澤村優子編曲)などの日本歌曲を。
そして特別ゲストとしてお迎えするオルガン奏者 鈴木開さんのオリジナル曲「彦根地方の子守唄の主題による幻想曲」などお楽しみいただけます。

ファーストコンサートは今年4月4日のイースターから一週間後となる4月11日の日曜日。
『リードオルガンの復活と春の訪れを喜ぶfu-kinコンサート』へ、皆さまのご来場をお待ちしています。


  


2020年10月31日

月の光に与へて。。。


月からもらった光は、
自分の中に貯金しておこう。

少し心が弱ったら、
その光を少しずつチャージするのだ。
いつも元気な私でいるために。。。


《2020.10.31 17:45 ブルームーン》




  月の光に与へて

おまへが 明るく てらしすぎた
水のやうな空に 僕の深い淵が
誘はれたとしても ながめたこの眼に
罪は あるのだ

信じてゐたひとから かへされた
あの つめたい くらい 言葉なら
古い泉の せせらぎをきくやうに
僕が きいてゐよう

やがて夜は明け おまへは消えるだらう
   あした すべてを わすれるだらう
            〜立原道造〜
       


ヴェルレーヌ、立原道造、
詩の中の月は、光をともなって心に寄り添っている。
そして月はいつも、音楽とリンクしている。





ハロウィンの10月31日に満月となるのは、1974年以来46年ぶり。
次回は38年後の2058年.
天国から見下ろすブルームーンは、どんなだろうか。。。





  


Posted by 白谷仁子 at 22:11日本の歌私。。。立原道造

2020年04月28日

地の上に香りて浄く、薔薇の花。。。



モッコウバラの香りを知っていますか?
八重のモッコウバラには香りはありませんが、一重のこの子には優しい香りがあるんです。


《モッコウバラ 花言葉「あなたにふさわしい人」》



薔薇の花に心をこめて
大木惇夫 詩 山田耕筰 曲

薔薇よ 薔薇
薔薇の花ささげまつる
地の上に香りて浄く
いと美わしき花なれば
薔薇よ 薔薇
大空の御光ありて
ふきいでし花なれば
薔薇よ 薔薇
薔薇の花ささげまつる








つるを何度直しても、寄り添うように伸びていくモッコウバラ。
棘のないモッコウバラはその色も香りも柔らかで優しい。
「あなたにふさわしい人に・・・」
そう健気に寄り添う姿に、暫し心を奪われる。。。




  


Posted by 白谷仁子 at 21:18日本の歌お花園芸

2020年02月17日

バイカオウレンに。。。



どんなに一日が長くても
どんなに残念なことがあっても

ゆっくりページをめくってみる
小さな窓をのぞいてみる・・・


《バイカオウレン 花言葉「幸せになる」》



楽しくて仕方ないときも
笑いがとまらないときも

ゆっくりページをめくってみる
窓の隅っこの小さな虫を探してみる・・・





自分だけのページを持っている私
真綿のような温みのページを持っている私





私はどんな時も昨日のことのように思い出す

一面に散りばめられた白い羽根のような小花たちを
ただ、ただ、我眼で追いかけた日のことを。。。




  


Posted by 白谷仁子 at 22:03日本の歌お花うた立原道造

2020年01月03日

ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつつでわたそ。。。



お正月には、縁起物や季節の植物が、家のあちこちや料理にをあしらわれる。
私の住んでいる伊吹山の麓には、立派な南天の木がたくさん自生している。
四季によって色を変える南天の葉は、お魚料理や和菓子に添えるだけで、おもてなしの心を表現してくれる。

今年は新年早々珍しい植物に出会えた。
実家のおせち料理の中に、それは可愛らしいものが飾られていたのだ。

名前は知っていたが、若い実を見たのは初めてだった。
私は一目でその可愛らしいものの虜になってしまった。。。



《ツクバネ 花言葉「あなたといると心が安らぐ」》




ツクバネの実は、茶色くなると羽子板遊びの羽根のように、くるくると回りながら地面に落ちる。
その時の光景は、とても幻想的だと聞いていたので、一度見て見たいと思っていた。

小さい時に遊んだ「追羽根」「揚羽根」。
可愛いらしい羽子板を買ってもらって、母と暗くなるまで追羽根をした頃を思い出した。

ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつつでわたそ、マコちゃんにわたそ。」

そんな声が、どこからともなく聞こえてくるようだ。。


羽根つき
権藤花代 詞 弘田龍太郎 曲

おいばねこばね
小鳥になって、
空まで上がれ
ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ
いつつでわたそ
花子さんにわたそ

追羽根こばね
ちょうちょになって
ヒラヒラまえよ
ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ
いつつでわたせ
春枝さんにわたせ  続きを読む


Posted by 白谷仁子 at 19:19日本の歌私。。。