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Posted by 滋賀咲くブログ at

2014年06月29日

鳰の巣 No.40『淡海に寄せる歌』その1。。。


滋賀県建築設計家協会が年に一度出版されている『鳰の巣』に載せていただきました。
本文を2回にわけてご紹介します。







淡海に寄せる歌〜その1〜              

小さい頃、何度も母に尋ねた。
「琵琶湖の向こうに何があるん?」

 琵琶湖から吹く風の匂いは、あの頃と変わらず、季節の緩やかな移り変わりを、そっと私に知らせてくれる。それは特別なことではなくて、もうずっと長い間、身体の奥底にしみついている感覚。
 一日が、ゆっくりと終わりを迎える頃、夕陽に染まる湖面は、まるで金色のゼリーのようにキラキラと光り、幼い私を誘った。誰がつくったわけでもない、美しすぎる光景をその瞬間独り占めしたような、そんな微かな興奮は、大人になった今も、鮮明に甦る。琵琶湖と夕日と私と・・・一つの絵になりたくて寄せる波に足を埋めた、あの頃を思いだすたびに、私の心はいつも、安穏としたノスタルジーに包まれる。







子どもの頃

 物心ついた頃から、私の生活は、長浜のまちなかにあった。
 「ながはま御坊表参道」「大手門通り」「浜京極」「北国街道」・・・。今、観光客で賑わうその場所は、私にとって最も大切なところだった。
 自転車の後ろで、母の背中にピッタリと頬をつける。流れるまちなかの風景を眺めながら、背中越しに聴く母の歌声。正確に記憶しているわけではないが、その声は今も、私の記憶の中で大切なフレーズとなって蘇る。買い物が終わると、大通寺へ立ち寄るのが二人の決まったコースだった。遠方からの参拝者と親しげに話す母のとなりで、私は無邪気にハトと遊んだりしながら、日の暮れをゆっくりと感じていた。今も残る、曳山祭り、夏中さん、お稚児参り、全てが私の日常の一部だった。

 小学校入学と同時に、私は大好きだった長浜市のまちなかから、琵琶湖のほとり移り住んだ。父が家族のために設計し、建ててくれたその家の周りには、それまで暮らしたまちなかには無い風景があふれていた。まだ数軒しか建っていない団地のあちこちにある桑畑。埋立地一面に広がるレンゲ畑。家から僅か数分歩くと、そこには広大な琵琶湖が両手をひろげていた。好奇心旺盛だった私にとってそれは、まさに『自然の楽園』だった。
 父は、二階のスペースを子ども部屋と、広いバルコニーにあてた。兄には朝日の差し込む部屋を、そして私には、窓から西日の差し込む部屋をプレゼントしてくれた。







夕暮れ時、ベッドに膝を立てて西側の窓から、夕陽に染まる琵琶湖を眺め続けた。次第に暗くなっていく部屋で、ふと、何を弾くでも無く、プカプカと足踏みオルガンをならし続けていた。それは一人遊びが大好きだった私の、一番の友達だった。やがて我が家の応接間にピアノがやって来た。黒く光ったその美しい楽器は、私の小さな身体には、あまりにも大きすぎた。
 
中学校へ入る頃、私の遊び場だった桑畑、レンゲ畑は次々と埋め立てられ、宅地へと姿を変えた。やがて私は、ピアノの置いてある応接間を占領するようになった。


つづく

  


Posted by 白谷仁子 at 11:13私。。。

2014年06月26日

命をつなぐ。。。


トウモロコシ、きゅうり、ししとう、タマネギ、プチトマト・・・
旬のとれたて野菜は、とても甘い。。。

ひとくち頬ばるごとに、「命」を食べていることの喜びを感じる。

夕方、日の暮れのころ、お庭のお花やお野菜にお水やりをしながら、対話を楽しむ。
たった数十分の、私の癒やしの時間。
まるで待っていたかのように、小さな虫が水のしずくを飲みにやってくる。







ずっと前に聞いた事がある…

『お部屋の観葉植物が、理由もないのに枯れてしまった。
いつもと変わらず、お手入れをしていたはずなのに。
降りかえってみて気がついた。
ここ数日、忙しい毎日を過ごしていた自分に。。。
植物は、人間の疲れや悲しみ、寂しさを、代わりに受け止めてくれるという。。
クタクタになりながらも、頑張ってこれたのは、キミたちのおかげなんだね。。。』


命で溢れている世の中の、ちっぽけなお庭の真ん中。
一本のホースで、命の水をまく自分もまた、なんだかとても大きな輪の中の一部になったようで、とてもとても嬉しかった。。。









  


Posted by 白谷仁子 at 22:41お花食べ物

2014年06月24日

薫風。。。


風が心地良い朝。
農面道路を抜けて、学校まではわずか30分ほど。
わざと車の窓をあけてみたくなる。

道路沿いの畑は、今一番充実しているように青い葉をゆらし、日本の美しい風景に色をそえていた。






もう随分昔、テスト期間中の自分は何を思っていたのだろう。。。
「ただただ、この時が早く終われば…」
そんな気持ちだったのかもしれない。

自然の世界では、たくさんの命が日々めまぐるしく変化して行く。
風の匂いは、自分が生きているのだという事を、さりげなく教えてくれる。

可能性と、未来と、夢を持った学生さんに、私は『薫風』という言葉を告げた。

生きて行くうえで、「無駄」などは無いといことを知れば、「失敗」をした自分の事も、きっと好きになれると思う。

『薫風』という言葉を、いつか彼らが別の誰かに告げてくれることを願って。。。


  


Posted by 白谷仁子 at 23:25非常勤講師のお仕事

2014年06月22日

雨の日の夏椿。。。」


雨の日曜日。。
あと一日待っていれば、白いやわらかな花弁を、黄色く染めずにすんだのに。。






休日も、雨の日も、どんな時も、私の朝の日課は変わらない。
だんだん膨らむ蕾を、毎日丁寧に確認しながら、今か今かと待ちわびていた。

私の大切な「夏椿」。
この白い花に初めて出会ってから、「いつかお庭に…」と決めていた。
その時の気持ちを、ずっと大切にしたいと心から願ったから。

今日が雨だとわかっていたら、この夏椿は一日待ったのではないだろか。
たった一日の花の時ならば、爽やかな朝の風に花弁を揺らせてあげたかったと思うのは、私だけではないだろう。。。







明日の朝には、ポトリの落ちてしまう夏椿。
夜にはほんの少し花弁をすぼめていた。

「愛らしさ」という花言葉がピッタリのその花には、小さなお客様が。

何やら楽しげなナイショ話が聞こえてきたような気がした。。。








  


Posted by 白谷仁子 at 21:16お花

2014年06月18日

もうすぐ発表会。。。


子どもの頃の思い出。。。
母の手作りのレースのワンピース。
白いタイツ。

それは、生まれて初めてのステージ。。。


《ピンクのミニバラ 花言葉「満足」》




花壇のミニバラが咲き始めた・・・。
今年も発表会の日が近づいてきた。
昨年の発表会の記念品だったミニバラは、生徒のお家でも、花を咲かせているだろうか。

今年はどんなドラマが生まれるのか、楽しみでしかたがない。
発表会は出演者一人一人が主役。
思いきり楽しんで欲しい。

今年のお花は、セントポーリア。
多年草で、室内で増やすことが出来る、とても愛らしいお花。
花言葉は「ささやかな愛」。

今年はもう一つプレゼント。。。
ミニコンサートのゲストに素敵なピアノのお客様をお迎え。
竹中直美さんと、菅井麻友子さんの素晴らしいピアノを披露していただきます。
もちろん、講師の近藤しほり先生、そして私の歌も。

指導者として発表会を主催する今も、思い出すのは、生まれて初めての、ピカピカドキドキのステージ。。。


《音楽企画 湖音ko-on のサマーコンサート》
7月6日(日)、米原市ルッチプラザ ベルホール310にて、午後1時半から開演。
ピアノ23人、声楽6人、コーラスユウスゲ、ゲスト演奏。







  


Posted by 白谷仁子 at 20:48音楽教室音楽企画 湖音ko-on

2014年06月15日

憧れのピアノ、FEURICI。。。

私の知らない世界を知り、
私の知らない弾き手と歌い、
人の心を癒やしてきた、私よりもうんと長生きのピアノ。。。


私には、ずっと憧れているピアノがある。


《FEURICH》




私の愛器、DIAPASONのめんどうをずっと見てもらっている、井手ピアノ工房さんにおじゃまして、FEURICHと久々の対面。
初めて出会った時から、私はFEURICHの音色にずっと憧れている。

100年以上生き続けているそのピアノは、今はお昼寝中。。。
ちょっと揺さぶって、起こしてみた。






日本ではあまり聞き慣れない名前「FEURICH」。。。
ピアノ製造会社FEURICHは、1851年、ジュリアス・フォイリッヒによって、ドイツ・ライプツィヒ市に創業された。

ピアノの音の好きずきは、人によって様々だ。
私は、弦楽器を思わせるような響きを持つピアノが大好きなのだ。







まだお昼寝中のFEURICH。。。
早く沢山の人に、そのやさしい音色をきかせてちょうだいね。




      《井手ピアノ工房 井手さん》




井手さんの手にかかると…どんな音になるのかな。。。


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Posted by 白谷仁子 at 15:46楽器

2014年06月10日

幼い夢。。。


小さい頃、お肉が食べれなかった私。。。
母は、お野菜料理をいっぱい作ってくれた。
おかげで私は、たいていどんなお野菜も、
生でパリポリいけるほど大好き。。。






中でも人参は特別大好き。
こんな美人さんに出会ったのは初めてだ。

将来は…レースクィーンか、足タレさん…?

人参の花言葉は「幼い夢」。。。
人参の花を見たことがある人なら、きっとうなずける花言葉。

人参ケーキに人参ゼリー、人参ごはんに人参のきんぴら…

野菜の神様に、感謝はつきない。



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Posted by 白谷仁子 at 19:41食べ物

2014年06月07日

ほよよん。。。のほほん。。。


朝起きて一番。。。
お庭に出て、自分が蒔いた種やお花の苗の様子を見回り。。。

玄関に一番近い、正方形の花壇には、フランネルフラワーがすっかり主役をつとめていた。
今一番お気に入りの花だ。






ここ数日、ほよよん。。。としている。
何をしていても、何を言われても、のほほん。。。と平和な気持ちでいられる。

不思議なもので、こんな時は、あちこち痛かったところが、自然治癒していく。
私に取っての一番のお薬は、ほよよん。。。のほほん。。。なのだ。

朝一番、知り合いのファームにおじゃま。
その足で、彦根市高宮の不破邸さんで開催されている「題名のない展覧会」(アートランド・ミネシマ)に。
優しい色使いと、元気な絵の数々に、暫し、心を癒やされた。

またまたその足で、おとくらへ。
美味しいアイスティーをいただきながら、新一年生のメンバー「さちかちゃん」が、勤務している高校の卒業生とわかり、なんだかとても嬉しくなった。

ほよよん。。。のほほん。。。しながら、7月の発表会や8月の「竹久夢二コンサート」のプログラミングを練る。。。

明日は、彦根市の夏川記念館で開催される「センプレ・カンタービレ ジョイントコンサート」に、音楽仲間の近藤しほりさんが出演。
もちろん応援に。。。

明日も、明後日も、ほよよん。。。として、のほほん。。。と平和な気持ちで過ごそうっと。

私とまるちゃん以外、みんな寝てしまった。
そろそろ私も・・・

「おやすみなさい。。」











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Posted by 白谷仁子 at 23:55私。。。

2014年06月04日

生誕100年によせて...立原道造 朗読会。。。

田園風景をゆっくりと流れる、3拍子のピアノのように、
言葉は、ある時ふと、音楽になる。

詩は不思議。。。
一度口にすると、その風景は心の現実となる。

「朗読」・・・
ありのままの心で読む。
ありのままの自分を受け止める。

そんな時間を、私は大切にしている。。。


《庄堺公園》





     メヌエット

やさしい鳥 やさしい花 やさしい歌

私らは 林のなかの 一軒家の

にほひのよい春を 夢みてゐた

鄙びた 古い 小唄のやうに

青い魚

光る果実

ながれる雲 星のにほひ

ちひさい炎

風が 語つて 忘れさせてゆく

淡い色のついた春を 夢みてゐた

ひとつの 古い 物語のやうに……

夜空の星と 置洋燈の またたきが

祝つてくれた ひとつの ねがひ

優しい鳥 優しい花 優しい歌
       〜立原道造〜  






立原道造生誕130年に寄せて「立原道造 朗読講座」
プログラム


①『田舎歌』より
 平成26年9月13日(土)午後2時半より

②『優しき歌Ⅱ』より
 平成26年11月1日(土)午後2時半より

会費:3,500円(2回)、2,000円(1回)
定員:20名
主催:音楽企画「湖音」
共催:近江楽座「おとくらプロジェクト」
協力:湖東地域定住支援ネットワーク
講師:声楽家 白谷仁子
会場:大学サテライト・プラザ彦根C教室
  (彦根アルプラザ平和堂6F)

関連コンサート 
立原道造生誕130年に寄せて
「歌と朗読で綴る 立原道造」(スライド上映)


平成26年11月23日(日)
出演:朗読・声楽 白谷仁子 ピアノ 竹中直美 スライド Studio Ecole
会場:滋賀県立文化産業交流会館 小劇場
入場料:3,000円

主催:音楽企画「湖音」
共催:近江楽座「おとくらプロジェクト」
協力:湖東地域定住支援ネットワーク

*朗読講座、コンサートへのお問合せ・お申し込みはこちらまで。。。
音楽企画 湖音ko-on 白谷仁子
FAX: 0749-26-5750
Mail:siratani.m@gmail.com
  


Posted by 白谷仁子 at 17:06コンサート立原道造

2014年06月01日

ずっとずっと昔から。。。


ずっとずっと昔から、どれだけ世の中が変わっても変わらないこと。

よく耕した土に種を蒔いて、毎日毎日お水をあげる。
すると、ある日突然、かわいい芽が顔を出す。。。

その時の感動も、ずっとずっと昔から、変わらない。


《オクラの芽》




この季節、早朝にお庭をひとまわりするのが、私の日課。。。
つい先日、オクラの種を蒔いた。
昨日、土がコンモリ膨らんでいたので、今朝は大きな期待を持ってお庭に出た。

期待通りの姿に嬉しくなって、何枚も写真を撮った。
「夢だけど、夢じゃなかったー!」(トトロのワンシーン)などとつぶやきながら。。。

私の日曜日の朝は、とても平和な空気と共にやってきた。



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Posted by 白谷仁子 at 22:31音楽教室食べ物