
2023年12月23日
Have Yourself A Merry Little Christmas。。
クリスマスが近づくと、
つい口ずさんでいる。
いつかどこかで聴いた、
少し掠れた声の『Have Yourself A Merry Little Christmas』。
「輝く星を飾りましょう。一番高いところに。」
1944年の映画『若草の頃(Meet Me in St. Louis)』の挿入歌は、
戦争に傷ついた人々の心に優しく染みついていった。
ささやかなクリスマス。
となりのテーブルから聞こえる笑い声。
普通の幸せって何?・・・
そんな問いかけも忘れかけた頃、
ふと思い出す歌。
少し掠れた声の『Have Yourself A Merry Little Christmas』。
Have Yourself A Merry Little Christmas
Ralph Blane 詞/Hugh Martin 曲
Have yourself a merry little Christmas
Let your heart be light
From now on your troubles will be out of sight
Have yourself a merry little Christmas
Make the Yuletide gay
From now on your troubles will be miles away
Here we are as in olden days
Happy golden days of yore
Faithful friends who are dear to us
Gather near to us once more
Through the years we all will be together
If the fates allow
Hang a shining star upon the highest bough
So have yourself a merry little Christmas now
2023年12月22日
長い夜のためのショーソン〜ピアフに。。。
今日、
一番夜が長い日。
外は刺すような冷たい風だけれど、
何もないこんな日に訪れる夜に、
心から「平和」を感じる。

悲しい夜はいくつもあった。
たぶん、
これからも幾度となく訪れる。
だけれど、
過ぎた日の自分よりも、
今の自分を大事にしたい。
長い夜にはショーソンがいい。
ピアフの息が言葉をつくる。
パリ。
ガルニエ内のお店で出会ったピアフのCD。
観光客目当てのものまでが小洒落ている。
長い夜のためのショーソンは ”Mea culpa”
ピアフが歌うと、
「罪」は「罪」でなくなるのだ。。。
そして幸せな私ら聴衆は、
このドラマの中で長い夜を酔うことが許されている。。。

”Mea Culpa” Édith Piaf
J'ai péché par orgueil
De t'avoir tout à moi
Dans un simple clin d'œil
Mea culpa
J'ai péché par envie
De me donner à toi
En te donnant ma vie
Mea culpa
Et puis par gourmandise
Illuminée par l'éclat de tes yeux
J'ai vu ta bouche et je me sentais grise
Car je buvais du feu
J'ai péché par paresse
Quand j'ai connu tes bras
Berceau de mes caresses
Mea culpa
Que ceux qui n'ont jamais péché
Me jettent la première pierre
Que ceux qui n'ont jamais aimé
Me refusent une prière
J'ai péché par colère
Contre toi, contre moi
Contre toute la Terre
Mea culpa
J'ai péché par luxure
Chaque soir, dans tes bras
Mais mon âme était pure
Mea culpa
Et puis par avarice
Je t'ai caché dans le fond de mon cœur
Pour mieux t'y adorer avec délice
À l'abri des voleurs
Ainsi donc, tu le vois
J'ai péché les sept fois
Rien qu'à cause de toi
Mea culpa
Mais un jour
Si tu me le demandais
Oh, mon amour
Je recommencerais
Mea culpa
Mea culpa
(ミッシェル・リヴゴーシュ 詩/コベール・ジロー 曲)
●Mea culpa・・・ラテン語で”私の罪”
2023年03月26日
一週間前の今日、今、コンサートが始まった。。。
Ma rendi pur contento
Della mia bella il core
E ti perdono,amore,
Se lieto il mio non è.
それでも、あの人の心を喜ばせてあげて下さい。
私の大切なあの人の心を
たとえ私が幸せでなくとも
愛の神よ、私はあなたを許せます。
Ma rendi pur contento〜BELLINI

撮影 スタジオ・エコール
イタリアのボローニャと日本の滋賀米原市の距離は9,544㎞。
電話ではほんの少しのタイムラグで、まるですぐ向かいに互いがいるように話をできる。
昨年の秋に決めたリサイタルから5ヶ月、じゅうぶんとは言えないが、パートナーと準備を重ねてきた。
訪れてくださるお客様と、音楽を共有できる時間を「忘れられない時間」にするために。

一部
イタリアの音楽は、それがたとえ悲しみを歌ったものであっても「幸せ」がある。
人が歌い、音楽を表現する喜びがどういうものなのか、学生の頃とは違った受け止め方ができるのは、長く歌ってきたご褒美かもしれない。

イタリア暮らしが長いカオリ(共演者の鈴木カオリさん)とは、長い長い付き合いだが、こうして共演したのは初めてだった。
私が生まれ育った地で、日本の歌曲を愛し歌い続けて来た時間、カオリはイタリアで学び、今は歌劇場でマエストロ・コッラボラトーレをするまでになった。

二部
もしも私が、望んでヨーロッパの地で必死に勉強していたら、今頃どんな風になっていただろう。
納得のできる歌い手になっていたか、それとも挫折してしただろうか、、、
開演の間際に、そんなことをふと考えた。

二部 椿姫「さようなら、過ぎ去った日よ」ヴェルディ
お互いに認め合っているからこそ、楽しめるコンサートだったし、必死で取り組めた。
初めての試みだった歌詞のテロップ投影。
照明の色や演出に何時間も時間をかけた。
チラシやプログラムも演出も、カオリや仲間といつもお客様のことを考えて、作り上げたコンサートだった。

アンコール「猫の二重唱」ロッシーニ
Gli affanni suoi pavento
Più degli affanni miei,
Perché Più vivo in lei
Di quel ch'io vivo in me.
私は自分の苦しみより、あなたの苦しみの方が心配だからです。
なぜなら、私はあなたの中に生き続けるからです。
自分のこと以上に あなたのことを。

一週間前の今日。
コンサートが始まった。
2023年01月21日
コンサートのお知らせ!「イタリア〜流れる旋律と愛の言葉」
3月19日、米原市ルッチプラザ ベルホール310にて、サイタル「イタリア〜流れる旋律と愛の言葉」」を開催します。
今回、私をサポートしてくれるピアニストは、イタリアのボローニャ・フェッラーラ他の歌劇場でマエストロ・コッラボラトーレとして仕事をする鈴木カオリさんです。


いまや「大切な、そして頼りになる友人」ともいえる元教え子のカオリさんとは、かれこれ30年ほどの付き合いとなりますが、ステージで共演するのは今回が初めてです。
30年前、私のレッスン室で一緒に学んだイタリア古典歌曲からロマン派歌曲、そしてカオリさんの本業であるオペラのアリアまで。
今、最高に楽しい「とき」を共に過ごせています。
マエストロ・コッラボラトーレというお仕事は、単にピアノの伴奏をするだけでなく、歌手への指導や、時には発声指導もします。
久しぶりにイタリア語の歌を歌うことになり、カオリさんからのアドヴァイスは私にとって新鮮で、また声楽家としての新たな財産にもなっています。
今回のリサイタルは私にとって3年ぶりです。
3年という月日、それはは音楽・歌に対する様々な思いを静かに振り返る「とき」でもありました。
その間も、音楽活動を続けてこれたことは、地域や仲間、ホールスタッフの皆様に支えられていたからこそと、今改めて思います。
3月19日(日)、イタリアの音楽、お話を楽しんでいただくだけでなく、これから音楽家を目指す学生さんにも、一つの刺激となれば嬉しく思います。
2022年06月29日
無になり 空になり。。。
私の孤独は 透明体になり
無になり 空になり
〜深尾須磨子「冬の森」から (パリ旅情)

まだ2年しか経っていないのか・・・と、2020年2月のパリの空を思い出すたびに感じる。
自宅に帰り着いた時、パリへ行っていたとは言えないような独特の空気に日本は包まれていた。
得体の知れない恐怖と、「パリが歌いおさめなんて、洒落ているよね。」なんて諦めに近い気持ちがザワザワと胸に押し寄せて、ちゃんと眠れない夜が続いた。
そんな中でも、いくつかのコンサートや歌の仕事が続けてこれたことが、今では奇跡のようにも思えるのだ。
PCR検査を受けていても、コンサートの後2週間は怖くてこわくて、神棚に祈る毎日だった。
「こんな時期に歌うなんて、コンサートなど非常識。」
「音楽などなくても、生きることに何も困らない。」
そんな言葉が耳に、目に入るたびに心の葛藤は膨らみ、涙した。
自分にとってではなく、人間にとって音楽というものがどういうものなのか、言葉にならない活字が頭の中をグルグルまわった。
でも、誰にも、何も言えなかった。
もしも自分が音楽をしていなかったら、同じことを言っていたかもしれないからだ。
「お父さんがね、今日も ”最高や、もういつ死んでもええわいー” なんて言うんよ。」
コンサートの直後、電話をする度、いつも母がこう言って笑っていた。
父は、自分が娘の歌を聴くのと同じくらい、その歌を聴いて笑顔で帰っていくお客さんの姿を見るのが好きだった。
音楽とは、歌とはどういうものなのか。
なぜ人は歌うのか。。。
言葉にならない活字は、父の横顔と共に私の心の中で少しずつ透明になっていくだろう。

◆お問い合わせ
090-4300-9616
koon.msk@gmail.com(白谷)
*******************************
6月24日、父が天寿を全ういたしました。
生前、コンサートの会場などではたくさんの方々に優しいお言葉をかけていただき、感謝申し上げます。
私に音楽の道を授けてくれた父、努力を惜しまないその生き方を最後まで示し続けてくれた父を誇りに、今まで以上に研鑽を積み、心の音楽をみなさまに届けていけるよう努力してまいります。
どうか、これからも声楽家 白谷仁子を見守っていただきますよう、よろしくおねがいいたします。
白谷仁子
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無になり 空になり
〜深尾須磨子「冬の森」から (パリ旅情)

まだ2年しか経っていないのか・・・と、2020年2月のパリの空を思い出すたびに感じる。
自宅に帰り着いた時、パリへ行っていたとは言えないような独特の空気に日本は包まれていた。
得体の知れない恐怖と、「パリが歌いおさめなんて、洒落ているよね。」なんて諦めに近い気持ちがザワザワと胸に押し寄せて、ちゃんと眠れない夜が続いた。
そんな中でも、いくつかのコンサートや歌の仕事が続けてこれたことが、今では奇跡のようにも思えるのだ。
PCR検査を受けていても、コンサートの後2週間は怖くてこわくて、神棚に祈る毎日だった。
「こんな時期に歌うなんて、コンサートなど非常識。」
「音楽などなくても、生きることに何も困らない。」
そんな言葉が耳に、目に入るたびに心の葛藤は膨らみ、涙した。
自分にとってではなく、人間にとって音楽というものがどういうものなのか、言葉にならない活字が頭の中をグルグルまわった。
でも、誰にも、何も言えなかった。
もしも自分が音楽をしていなかったら、同じことを言っていたかもしれないからだ。
「お父さんがね、今日も ”最高や、もういつ死んでもええわいー” なんて言うんよ。」
コンサートの直後、電話をする度、いつも母がこう言って笑っていた。
父は、自分が娘の歌を聴くのと同じくらい、その歌を聴いて笑顔で帰っていくお客さんの姿を見るのが好きだった。
音楽とは、歌とはどういうものなのか。
なぜ人は歌うのか。。。
言葉にならない活字は、父の横顔と共に私の心の中で少しずつ透明になっていくだろう。

◆お問い合わせ
090-4300-9616
koon.msk@gmail.com(白谷)
*******************************
6月24日、父が天寿を全ういたしました。
生前、コンサートの会場などではたくさんの方々に優しいお言葉をかけていただき、感謝申し上げます。
私に音楽の道を授けてくれた父、努力を惜しまないその生き方を最後まで示し続けてくれた父を誇りに、今まで以上に研鑽を積み、心の音楽をみなさまに届けていけるよう努力してまいります。
どうか、これからも声楽家 白谷仁子を見守っていただきますよう、よろしくおねがいいたします。
白谷仁子
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2021年07月28日
虫のこえとバロックと。。。2017年9月
『ゴールドベルク変奏曲のアリアが始まると、虫は一斉に静まり、
ついでイタリア協奏曲になると、スィッチョンの声がどこからか聞こえ出し、
平均律に入ると、ツクツクボーシが賑やかに歌い出しました。
・・・わかるんですね、虫さんにも音楽が・・・』
こんなMCをしながら、米原市にある石田三成ゆかりの観音寺境内で、バロックコンサートが開催されてから、もうすぐ4年が経つ。
これは、米原市と私の主宰する音楽企画湖音との企画で、滋賀県アートコラボレーション事業の一環として、本公演となる翌年開催のホールコンサート『エンジョイ・ザ・バロック』の前に、3回のアウトリーチコンサートを行うというものだった。
アウトリーチコンサートとは、演奏家がときに楽器を持参して地域を訪問する、いわば出前コンサートのことだ。
スタートは、チェンバロとソプラノによるバロック音楽のプログラム。
おそらく、会場となった観音寺にチェンバロが運び込まれたのは、長い歴史の中でも初めてのことだろう。
チェンバロ奏者 小林祐香さん(吉田祐香さん)の美しいチェンバロで歌えるという、私にとって幸せな時間でもあった。。。
《モンテヴェルディ「苦しみが甘美なものならば Si dolce è'l tormento, SV 332.」

開け放された板戸と障子、まるで山全部がホールと化した中で、虫の声も歌声もともに溶け込んでいく瞬間が心地よかった。

お寺DEコンサート〜バロックの調べ〜
2017年9月24日(日)13:00開演(12:30開場) 観音寺
ープログラムー
G.F.ヘンデル
樹木の影で 調子の良い鍛冶屋
A.スカルラッティ 1660-1726
オペラ「十人委員会の凋落(ちょうらく)」から
貴方が私の死の栄光を
C.モンテヴェルディ1567-1643
苦しみはかくも甘き
J.S.バッハ 1685-1750
ゴールドベルク変奏曲よりアリアBWV988
イタリア協奏曲BWV971 3楽章
A.ヴィヴァルディ1678-1741
歌劇「ジュスティーノ」から
喜びと共に会わん
J.S.バッハ
平均律ハ長調プレリュードBWV846
J.S.バッハ/C.グノー
Ave Maria
ソプラノ 白谷仁子 チェンバロ 小林祐香
《2017年9月 チェンバロの説明をする祐香さん》

演奏後は、祐香さんの提案で楽器説明を間近で受けることもでき、チェンバロを取り囲むお客様が途絶えることなく続いた。
『ゴールドベルク変奏曲のアリアが始まると、虫は一斉に静まり、
ついでイタリア協奏曲になると、スィッチョンの声がどこからか聞こえ出し、
平均律に入ると、ツクツクボーシが賑やかに歌い出しました。』

・・・わかるんですね、虫さんにも音楽が・・・
ついでイタリア協奏曲になると、スィッチョンの声がどこからか聞こえ出し、
平均律に入ると、ツクツクボーシが賑やかに歌い出しました。
・・・わかるんですね、虫さんにも音楽が・・・』
こんなMCをしながら、米原市にある石田三成ゆかりの観音寺境内で、バロックコンサートが開催されてから、もうすぐ4年が経つ。
これは、米原市と私の主宰する音楽企画湖音との企画で、滋賀県アートコラボレーション事業の一環として、本公演となる翌年開催のホールコンサート『エンジョイ・ザ・バロック』の前に、3回のアウトリーチコンサートを行うというものだった。
アウトリーチコンサートとは、演奏家がときに楽器を持参して地域を訪問する、いわば出前コンサートのことだ。
スタートは、チェンバロとソプラノによるバロック音楽のプログラム。
おそらく、会場となった観音寺にチェンバロが運び込まれたのは、長い歴史の中でも初めてのことだろう。
チェンバロ奏者 小林祐香さん(吉田祐香さん)の美しいチェンバロで歌えるという、私にとって幸せな時間でもあった。。。
《モンテヴェルディ「苦しみが甘美なものならば Si dolce è'l tormento, SV 332.」
開け放された板戸と障子、まるで山全部がホールと化した中で、虫の声も歌声もともに溶け込んでいく瞬間が心地よかった。
お寺DEコンサート〜バロックの調べ〜
2017年9月24日(日)13:00開演(12:30開場) 観音寺
ープログラムー
G.F.ヘンデル
樹木の影で 調子の良い鍛冶屋
A.スカルラッティ 1660-1726
オペラ「十人委員会の凋落(ちょうらく)」から
貴方が私の死の栄光を
C.モンテヴェルディ1567-1643
苦しみはかくも甘き
J.S.バッハ 1685-1750
ゴールドベルク変奏曲よりアリアBWV988
イタリア協奏曲BWV971 3楽章
A.ヴィヴァルディ1678-1741
歌劇「ジュスティーノ」から
喜びと共に会わん
J.S.バッハ
平均律ハ長調プレリュードBWV846
J.S.バッハ/C.グノー
Ave Maria
ソプラノ 白谷仁子 チェンバロ 小林祐香
《2017年9月 チェンバロの説明をする祐香さん》

演奏後は、祐香さんの提案で楽器説明を間近で受けることもでき、チェンバロを取り囲むお客様が途絶えることなく続いた。
『ゴールドベルク変奏曲のアリアが始まると、虫は一斉に静まり、
ついでイタリア協奏曲になると、スィッチョンの声がどこからか聞こえ出し、
平均律に入ると、ツクツクボーシが賑やかに歌い出しました。』

・・・わかるんですね、虫さんにも音楽が・・・
2021年05月27日
天上の薔薇。。。オルフェオのアリア
白いバラからは太陽をイメージする。
重なる花びらをじっと見ていると、包み込まれるような気持ちになる。
どんなに小さなバラであっても、その白さと高貴さには一瞬にして心を奪われる。

C.モンテヴェルディのオペラ「オルフェオ」で最初にオルフェオがうたう『Rosa del cie(天上の薔薇)』は、太陽をバラと歌い、愛しいエウリディーチェへの愛を甘く歌う。
ギリシア神話の物語にも、太陽への賛美として例えられるほどの花は、いま、こんなに身近なところで雨にうたれている。
挿し木から間も無く、可憐で小さな蕾をつけ、まっすぐ天を仰いでいる。
”自分を信じる”ことは易しくない。
不安でなければ嘘だとおもう。
ギリシア神話のオルフェオは一瞬の迷いから、愛するものを永遠に失ってしまった。

厚い雨雲の上には、真っ白いバラのような太陽が咲いていて、雨が止むのを待っている。
だから、今はただ自分を信じていようと思う。
音楽と一緒に、この小さなバラと一緒に、待っていようと思う。。。
2021年04月12日
リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”ファーストコンサート!終わりました。
捨てられないモノ・・・
いくつありますか?
捨てられないのはモノですか?
それとも思い出ですか?

昨日4月11日、昨年から延期していたコンサート「リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”四月の風。今、芽吹くとき」を、たくさんのお客様と共にむかえることができました。
今年で118歳になるリードオルガンさんを、1年待たせてしまいましたが、昨日のご機嫌は最高だったようで、納屋七の空間にとても柔らかな歌声を響かせてくれました。

《三重唱:澤村優子 石田和美 竹中直美》
《三重唱:原田泰彦 神澤智香 白谷仁子》

オルガニスト鈴木開さんのオリジナル曲「彦根(馬場)地方の子守唄による幻想曲」は、遠い昔を偲ばせる懐かしさと物悲しさがあり、お客様もメンバーも、しっとりと聴き入りました。
《オルガン:鈴木開》

縁があって、滋賀県湖東の彦根城下町に今いるオルガンが、私たちと歌い、たくさんの人々の心にひとつの小さな思い出を作りました。
この思い出と、いただいたご縁を大切にしていきたいと思っています。

いただいたコンサートや私たちの活動への感想は、今後の活動にいかしていきます。
コンサート開催にあたり、ひこね文化デザインフォーラム、スタジオエコール、計画工房I.T株式会社のスタッフの方々、ふたば楽器さん、メンバーほか、応援してくださる皆様方に心から感謝いたします。
オルガンはこれまで通り、月に3回位のペースでfu-kinメンバーによって弾きこみをおこない、不具合・修繕箇所のチェックをしていきます。

この日、リードオルガン修繕費募金は9080円。
次のメンテナンスに、大切に使わせていただきます。
2021年04月01日
楽器の声。。。
ブーカ・・・ブーカ・・・
小学2年生まで、二階の私の部屋には足踏みオルガンがあった。
小学校に入るまで過ごしていた団地から持ってきたそのオルガンは、とても調子の良い楽器だった。
お引っ越しと同時に「自分だけの部屋」を与えてもらった私は、夕方になるとその足踏みオルガンを「ブーカ・・・ブーカ・・・」と弾いていた。
忙しそうに足を動かし、少しでも大きな音を出そうと必死に左右のペダルを踏んでいた。
クリスマスを間近に迎えた小学2年生の時、学校から戻ると母に促されて滅多に入らない応接間のドアを開けた。
目の前には真っ黒の大きなモノが”でん”と置かれ、ピカピカ光っていた。
「どう?クリスマスプレゼント!」
そう言って母は満面の笑みで黒いモノを指差した。
高校時代、病弱で音楽大学の進学を諦めた母にとっては、縦型のアップライトピアノは「夢の楽器」だった。
クリスマスに買ってもらうものを決めていた私は、よほどおもしろくない顔をしていたのか、母は「嬉しくない?」と夕飯の時も何度も聞いていた。
私が不機嫌になった最大の理由は、もう不要となった足踏みオルガンを、誰かにあげてしまうと母が言ったことだった。
自分の部屋にあって、いつでも弾ける足踏みオルガンと違い、わざわざ応接間まで行かないと弾けないピアノは、その頃どことなく遠い存在だった。
やがて、それがかけがえのない存在となることなど、知りもしなかった。
楽器というのは、鳴らしてあげると息を吹き返す。
楽器も持つ本当の声を聴いた時、私たちは何か大切なものをもらったような気持ちになる。。
今日は4月11日のコンサートに備え、リードオルガンの修理・メンテナンスをしてもらった。
不思議と子供の時に弾いていた足踏みオルガンのことが、よみがえってきた。。。
《YAMAHAリードオルガン》

《ふたば楽器(西條さん・加藤さん)》


Photo スタジオ・エコール
小学2年生の時、あまり嬉しくなかった「黒いモノ」は、今の私にとって同士のようなもの。
新しくグランドピアノを買った時も手放せず、今もレッスン室ではなく本宅に置いてある。
メトロノームを落として付けた傷も、弾きすぎてガクガクになってしまった鍵盤も、愛おしくて仕方がない。
「大事に使われていたオルガンですね。」
修理が終わって、加藤さんが言われた一言に心があたたかくなった。
このYAMAHAリードオルガンを大事に使っていた持ち主さんには、どんなストーリーがあったのだろう・・・と。

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2021年03月25日
リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”。。。
4月11日にコンサートを控え、リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”は日々練習を重ねています。
ちょうど1年前予定していたファーストコンサートを中止にしてからというもの、メンバーが集まっての練習はなかなか思うように進みませんでした。
それでも少しずつ、メンバーと連絡をとりあい、データで楽譜を送りながら自主練習をし、一人ひとりがアンサンブル練習にそなえてきました。
今日は、オルガン奏者の鈴木開さんとの初めての合わせであり、びわ湖ホール声楽アンサンブル指揮者 大川修司先生のレッスンの日でした。
《練習風景(彦根市城町 計画工房I.Tのギャラリーにて)》

Photo:スタジオエコール
初めの曲、fu-kinオリジナルの日本古謡『さくら さくら』は、メンバー澤村優子さんの編曲による三重唱で、オルガンの魅力があふれています。
彦根城下町の桜を感じつつ、大川先生のご指導で、少しずつfu-kinらしくまとまっていきました。
レオン・ボエルマンの『アヴェ・マリア』と『汝、御母なることを示したまえ』は二部合唱ですが、「聴き合う」ことの難しさを改めて感じずにいられません。
鈴木さんのオルガンはとても心地よく、「オルガンの息」と「人の息」のハーモニーを堪能しました。
《オルガン:特別ゲスト鈴木開さん ソプラノ:神澤知香 白谷仁子 澤村優子》

《アルト:原田泰彦 竹中直美 石田和美》

歌えることの幸せは、最も「生きている」ことを実感させてくれます。
「人類はなぜ言葉を持ち、歌うことをはじめたのか。。。」
仲間と声を合わせている時、ふと、そのテーマにいきあたります。
リードオルガンアンサンブルfu-kinは、まだ吹き始めたばかりの春のそよ風です。
これから訪れるたくさんの出会いの中で、季節を包み込むあたたかい風へと育っていけますように。。。

大川修司先生。
ご多忙な中、ご指導ありがとうございました。
◆リードオルガン・アンサンブル“fu-kin”コンサート◆
〜四月の風。今、芽吹くとき〜
4月11日(日)14:00開演(13:30開場)
彦根市城町の「イノベーションオフィス納屋七」
チケット 2500円
お問い合わせ 090-4300-9616(音楽企画湖音 白谷)
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