2013年05月18日

たふとき人。。。


音楽は不思議。。
一流の演奏家が奏でる宝石のようなフレーズよりも、
音楽が好きでたまらない女の子の、たった一つのフレーズに、心が動かされる事がある。。

それは、早春の庭に首をうなだれ、ひっそりと佇む水仙が、あたり一面に甘くやわらかな香りを放っている光景に似ている。


たふとき人。。。





すずしきうなじ
    三好 達治 詩

すずしきうなじうなだれて
さく日といへどおのづから
香はかをるなれ水仙花

たふとき人のひとりゐて
友はなけれどひとの世に
やすんじたまふこころかな


中田喜直の『すずしきうなじ』を歌いながら、
「たふとき人(尊き人)」と呼ばれる人になりたいと、心から思った。

与えられた環境から逃げることなく、自分の世界を守り続ける。。。
ひっそりと佇む甘い香りは、姿が見えずとも、その存在を周りに教えてくれる。
そんな「たふとき人」になりたいと心から思った。


『日本の歌に・・・』第1回 中田喜直
6/22(土)14:00開演。
ソプラノ 白谷仁子  ピアノ 菅井麻友子
場所:《座・楽庵 おとくら》
(第2回 9月予定、第3回 詳細未定)

ブログ「音・人・里」で、コンサートプログラムの詩を紹介していきます。
美しい詩と、音楽を。。。



今夜のレッスンで、16歳の女の子の弾く《ベートーベン「悲愴」》に、思わずホロリときてしまった。

ハノンは必須、チェルニーも大事・・・
だけど、それとは別のところで、もっと大事なものもある。

音楽は不思議・・・。
最初のひとフレーズで、もしかしたら一声で、「その人」の生き方が表れてしまう。



Posted by 白谷仁子 at 23:05 │日本の歌