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Posted by 滋賀咲くブログ at

2021年04月01日

楽器の声。。。



 ブーカ・・・ブーカ・・・
小学2年生まで、二階の私の部屋には足踏みオルガンがあった。
小学校に入るまで過ごしていた団地から持ってきたそのオルガンは、とても調子の良い楽器だった。

お引っ越しと同時に「自分だけの部屋」を与えてもらった私は、夕方になるとその足踏みオルガンを「ブーカ・・・ブーカ・・・」と弾いていた。
忙しそうに足を動かし、少しでも大きな音を出そうと必死に左右のペダルを踏んでいた。

クリスマスを間近に迎えた小学2年生の時、学校から戻ると母に促されて滅多に入らない応接間のドアを開けた。
目の前には真っ黒の大きなモノが”でん”と置かれ、ピカピカ光っていた。

「どう?クリスマスプレゼント!」
そう言って母は満面の笑みで黒いモノを指差した。
高校時代、病弱で音楽大学の進学を諦めた母にとっては、縦型のアップライトピアノは「夢の楽器」だった。

クリスマスに買ってもらうものを決めていた私は、よほどおもしろくない顔をしていたのか、母は「嬉しくない?」と夕飯の時も何度も聞いていた。
私が不機嫌になった最大の理由は、もう不要となった足踏みオルガンを、誰かにあげてしまうと母が言ったことだった。

自分の部屋にあって、いつでも弾ける足踏みオルガンと違い、わざわざ応接間まで行かないと弾けないピアノは、その頃どことなく遠い存在だった。
やがて、それがかけがえのない存在となることなど、知りもしなかった。


楽器というのは、鳴らしてあげると息を吹き返す。
楽器も持つ本当の声を聴いた時、私たちは何か大切なものをもらったような気持ちになる。。

今日は4月11日のコンサートに備え、リードオルガンの修理・メンテナンスをしてもらった。
不思議と子供の時に弾いていた足踏みオルガンのことが、よみがえってきた。。。


《YAMAHAリードオルガン》


《ふたば楽器(西條さん・加藤さん)》



Photo スタジオ・エコール




小学2年生の時、あまり嬉しくなかった「黒いモノ」は、今の私にとって同士のようなもの。
新しくグランドピアノを買った時も手放せず、今もレッスン室ではなく本宅に置いてある。
メトロノームを落として付けた傷も、弾きすぎてガクガクになってしまった鍵盤も、愛おしくて仕方がない。

「大事に使われていたオルガンですね。」
修理が終わって、加藤さんが言われた一言に心があたたかくなった。
このYAMAHAリードオルガンを大事に使っていた持ち主さんには、どんなストーリーがあったのだろう・・・と。







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