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2017年11月06日

そが ほそき こずゑの 傷さ。。。


   
  そらを 指す

      木は かなし

         そが ほそき

            こずゑの 傷さ
 
               八木重吉「秋の瞳」から "空を 指す 梢”




そが  ほそき  こずゑの  傷さ。。。





私の手のひらのまん中で、
小さな葉を2枚ひろげていたイロハモミジの苗。
大事にもってかえって鉢に植えた日から早6年目。
今では私の庭で、
秋を飾る一番のソリストとなった。

おまえを見ていると、
私は言いようのない安心感に包まれる。

針のような枝先は、
雪どけの頃には何本か折れてしまう。

それでも年々少しずつ枝をはり、
今では私の背を越して、
高くたかく天に背伸びをしている。

庭のイロハモミジよ、
私は忘れることはないだろう。

爪の中に土をためながら、
おまえを枯れ枝でそっと掘り起こした、
あの優しき手を。
日よけのスカーフに、
赤ん坊を包むように大事に持ち帰った、
あの五月の日を。



そが  ほそき  こずゑの  傷さ。。。




いつか、いつの日か、
おまえが見上げるほどに大きく梢を伸ばす日が来ても・・・
庭のイロハモミジよ、
私はけして忘れることはないだろう。

たとえ、
いつか我が身が葉先に降るちいさな朝露になっても、
私は忘れることはないだろう。










Posted by 白谷仁子 at 20:32 │私。。。