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Posted by 滋賀咲くブログ at

2017年04月14日

ライラックの枝をくぐり。。。

ライラックの枝をくぐり、
早くそちらに行こうとしたが、
かかとの細いサンダルが、
草の根っこに引っ張られ、
追いつこうにも追いつけない。

そんな夢だか現実か、
わからないような午後のひとときを思い出させてくれる
ライラックの花の香りよ。。。



《ライラック 花言葉「友情」「恋の芽生え」》





昭和14年3月、立原道造氏のお見舞いに来た、プロレタリア作家の若林つやさんと、評論家でドイツ文学者の芳賀檀さんは、ライラックと赤いバラの鉢植えを持ってきたという。
「届けてほしいものは?」と聞かれ立原氏は、一度ずつでおしまいになる小さな罐詰と、そして「五月のそよ風をゼリーにして持って來て下さい」と答えたという。
甘いだけでなく清涼感のあるライラックの花の香りは、甘さを控えた爽やかなゼリーの味を思わせる。








うたふやうにゆつくりと‥‥

日なたに いつものやうに しづかな影が
こまかい模様を編んでゐた 淡く しかしはつきりと
花びらと 枝と 梢と――何もかも……
すべては そして かなしげに うつら うつらしてゐた

私は待ちうけてゐた 一心に 私は
見つめてゐた 山の向うの また
山の向うの空をみたしてゐるきらきらする青を
流されて行く浮雲を 煙を……
 
古い小川はまたうたつてゐた 小鳥も
たのしくさへづつてゐた きく人もゐないのに
風と風とはささやきかはしてゐた かすかな言葉を
 
ああ 不思議な四月よ! 私は 心もはりさけるほど 
待ちうけてゐた 私の日々を優しくする人を
私は 見つめてゐた……風と 影とを……
  立原道造「優しき歌 I」から



それぞれの花に、それぞれの思い出がある。
ふと眼にした影の形、
風が送ったほのかな匂い、
他愛もなくかけ合った言葉・・・

私はそれらを一生忘れることはないだろう。
ライラックの枝をくぐった時の喜びを。。。



  


Posted by 白谷仁子 at 21:09お花私。。。