
2014年01月13日
山背女の 木鍬持ち 打ちし大根・・・。。。
『つぎねふ 山背女の 木鍬持ち 打ちし大根 根白の白腕 纏かずけばこそ 知らずとも言はめ』仁徳天皇

昼間の冷たい風に耐え、夜露は容赦なく葉の緑を凍らせる。やがてうっすら輝く霜となった露は、朝日をうけて溶けてゆく。。。
冬の大根は、声楽家の私にとって欠かせないお野菜だ。
喉の炎症を鎮めるのに、おろし大根は、常備薬のようなもの。
農家に生まれたわけではないけれど、私が育った家のキッチンは、お野菜にあふれていた。
だから、キッチンにお野菜がなくなってくると、とても不安になる・・・
当然、お野菜の保存法には、ちょっと自身がある。
今朝は、ご近所さんに教えて頂いたレシピにそって、『ゆず大根』を漬けてみた。

4㎏もある、とれたての大きな大根にサクサク包丁を入れながら、大根の白い肌の美しさに見とれた。
仁徳天皇が皇后に贈った歌に、次のようなものがある。
『つぎねふ 山背女の 木鍬持ち 打ちし大根 根白の白腕 纏かずけばこそ 知らずとも言はめ』仁徳天皇
〜山城の国の女が木の鍬を使って育てたダイコン。その根の白さと同じ美しい白い腕で抱いてくれた ...〜
なんて情熱的な歌なんだろう・・・
食料でも有り、薬膳でもある野菜達に対する、高い美意識と尊敬を感じた。。。
『ゆず大根』の食べ頃は、ちょうど節分の頃。
自然の恵みと、育む事を怠らない人の心に、感謝の気持ちは尽きない。
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2014年01月11日
明日は成人式。。。
のしにくるんだ真新しい足袋と肌着を神棚前に置き、手を合わせる。
明日、成人式を迎える娘の幸せを願って。。。

明日は成人式。
歳月を心で数える・・・もう20年、まだ20年。
2歳と6ヶ月、ただ1度だけ、大きな病気をした他は、私に心配をかけるようなことは1度もなかった。
子育てをしているお母さんを見る度に、私は18年前の50日間を思い出す。
わずか50日のあの日々を。。。
小児科病棟の個室で、私は毎晩イメージした、そして何度も諦めかけた。
入園式、入学式、卒業式、成人式・・・人生の節目を、共に喜び会える瞬間の笑顔を。
「ああなって欲しい・・・」
「こうなってくれたらいいのに・・・」
もし、あの50日がなかったら、私は色んな事を娘に望んでいただろう。
大切な人は、ただ側にいてくれればいい。
これから別々に暮らす日が来ても、元気でいてくれればそれでいい。。。
日々の料理やお弁当は、大切な人がいてくれる事の証だ。
あと何年、娘達にお弁当を作ってあげられるのだろう・・・
そんなことを考えながら、小さなろうそくの灯を消した。
明日は成人式。
歳月を心で感じる・・・もう20年、まだ20年。。。
2014年01月09日
爪弾く指に。。。
爪弾く指に、弦は優しく、時には凛としてゆずらない。。。
一番か弱く細い弦が、一番強く心に響くのはなぜだろう。
一番か弱く細い弦が、一番強く心に響くのはなぜだろう。

2014年、音楽の授業が始まった。
冷えきった音楽室のストーブを灯し、生徒を待つ。。。
遠くから、男子生徒の会話が聞こえてくると、もうすっかり授業モードの自分になっていた。

久しぶりのギターの弦は、冬の準備室でひんやりと誰かを待っているようだった。
けして得意ではない、弦の張り替えをしたあと、ギターは生徒の手の中で元気にうたっていた。

授業を終え、学校を出た。。
陽も落ちていないのに、風は指に嫌というほど冷たかった。
私は、得意ではないが、ギターが好きだ。
ずっと憧れていた楽器だった。
部屋で爪弾いたギターの音はとてもやわらかだった。
爪弾く指に、弦は優しく・・・
爪弾く心に、弦は果てしなく優しい・・・
2014年01月06日
星くづにてらされた道。。。
人はどうして詩を愛するのだろう・・・
人はどうして詩を歌うのだろう・・・

良いことがあった時、なかった時、「夢みたものは・・・」と問いかけてみると、私の中にある形の無い柵は、雪が溶けるように崩れてゆく。
私が最も愛する詩人、立原道造の記念館は、2011年に閉館した。

歌を通して、私は立原道造と出会って、その世界に引き込まれていった。
立原道造生誕100年の今年、たくさんの道造の詩を歌おうと思う。
詩に音がつき、歌い手が世界を作る。。。
愛する詩を、心である歌で表現出来ることへの感謝は尽きない。
『のちのおもひに』・・・湖の畔で育ち、山里で暮らす私への、最高の贈り物だ。。。

のちのおもひに
立 原 道 造
夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を
うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
──そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……
夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには
夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう
詩集『萱草に寄す』より
(「はじめてのものに」と対応する作とされている。)